平野氏については筆者もこれまで幾度か取材の機会があった。大柄で強面なイメージもあるが、物腰は柔らかく、ざっくばらんな雰囲気を醸し出しながらも、発言は瞬時に練られて切れ味があるというのが印象だ。果たして、チャレンジャーとしてどのような経営手腕を発揮するか、注目しておきたい。
「これからのセキュリティはデータそのものを守る対策が一層重要になる」 (日本オラクル 杉原博茂 取締役 代表執行役社長兼CEO)
日本オラクルの杉原博茂 取締役 代表執行役社長兼CEO
日本オラクルが先ごろ、データベースのセキュリティ対策に関する記者説明会を開いた。杉原氏の冒頭の発言は、その説明会で、これからのセキュリティ対策のありようについて語ったものである。
同社はこの説明会で、データベースのセキュリティ対策として、データ暗号化の際に必要となる暗号鍵やデータベースの資格証明などを安全かつ確実に管理するためのソフトウェア「Oracle Key Vault」の国内提供を開始すると発表した。その詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは杉原氏が強調した「データを中心としたセキュリティ対策の重要性」について取り上げたい。
杉原氏は企業におけるセキュリティ対策の現状について、「日本ではネットワークから侵入してくるセキュリティ脅威への対策に注力している企業が多いが、欧米ではネットワークへの対応だけでなく、データそのものをどのように守っていくかという観点から、データベースセキュリティの強化に取り組む企業が増えている」と説明した。
そうした動きを踏まえ、杉原氏とともに説明に立った同社副社長執行役員データベース事業統括の三澤智光氏が、データを中心としたセキュリティ対策の重要性について、従来と比較して次のように語った。
「従来のセキュリティ対策は、性善説に基づくとともにネットワークへの対応への取り組みが中心だった。しかし、それでは複雑かつ高度化するセキュリティの脅威に対応するのが難しくなってきた。ではどうすればよいか。これからのセキュリティ対策は、データそのものを守るために、暗号化、アクセス制御、検知による多層防御を行うことが求められている」
そうした中で、杉原氏は「企業にとって大事なデータをしっかりと守っていくのは、オラクルに課せられた使命だと認識している。なぜかと言えば、オラクルのデータベースにそうしたデータの多くが格納されているからだ」との見解を示した。
一見、オラクルの手前味噌の話にも聞こえそうだが、「ネットワークセキュリティだけでなくデータセキュリティにも万全の対策を」とのメッセージは、企業にとっても大いに耳を傾ける必要がありそうだ。