本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、一般社団法人ITビジネス研究会の田中克己 代表幹事と米Pure Storageの最高経営責任者(CEO)、Scott Dietzen氏の発言を紹介する。
「これからの日本のIT産業、IT企業のあるべき姿を追求していきたい」 (一般社団法人ITビジネス研究会 田中克己 代表幹事)

一般社団法人ITビジネス研究会の田中克己 代表幹事
一般社団法人ITビジネス研究会が4月23日、この1日に社団法人へ組織変更して初めての例会を開いた。冒頭の発言は、同会の代表幹事に就任した田中氏が、今後の活動に向けての意気込みを語ったものである。
例会で講演を行った田中氏は、「ITビジネス研究会は2年半前に任意団体として活動をスタートさせ、日本のIT産業、IT企業のあるべき姿に向け、どのようなビジネスを展開すればいいのかについて議論してきた」と、これまでの経緯を説明した。
その活動に至った理由について田中氏は、「日本のIT産業、IT企業が旧態依然としたビジネスモデルのままで推移し、グローバル競争が激化する中で徐々に弱体化してきているのではないかと、私自身10年以上前から感じてきた。これは何とかしないと、日本企業のIT活用そのものが遅れてしまい、ひいては日本全体が競争力を失うのではないか。その強い危機感が、この会の活動の原点であり、原動力となっている」と力を込めて語った。
また、同会の設立趣意書では、「言われた通り作り続ける伝統的な受託ソフト開発では、クラウドに象徴される新しいIT活用のニーズには応えられない。人月ベースの多重下請け構造を破壊し、新しいビジネスモデルを創造することが、今まさに必要とされている」とし、特にベンチャー魂を持つ中小IT企業の活躍を力強く支援していくことを明記している。
田中氏は、35年以上にわたってIT分野一筋に活躍してきたベテランジャーナリストである。日経BP社では、日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版および日経システムプロバイダの編集長を務め、2010年10月からフリーで活動しており、現在ZDNet Japanでも「2020年のIT企業」と題した連載コラムを執筆中だ。
この連載コラムとともに、これまでの主な著書「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(いずれも日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)などからも、ITビジネス研究会の活動に至った一貫した“信念”をうかがうことができる。