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松岡功の一言もの申す

富士通の株価が急落した理由

松岡功

2015-05-07 12:00

 5月1日の東京株式市場で、富士通の株価が急落した。同社が前日に2015年度(2016年3月期)の連結業績見通しで減益になると発表したことが影響したようだが、問題は減益要因の不透明感にあったのではないか。早期の明確な説明が求められる。

ビジネスモデルの変革に300億円を投資

 富士通が4月30日、2014年度(2015年3月期)の連結決算(国際会計基準=IFRS)と2015年度の連結業績見通しを発表した。全体の概要については関連記事を参照いただくとして、その中で注目されたのは、2015年度の業績見通しにおいて、営業利益を前年度比16.0%減の1500億円、当期利益を同28.6%減の1000億円と、あらかじめ減益になるとしたことだ。

 同社を取り巻く事業環境は好転しており、受注も好調だという。なのに減益見通しとはどういうことか。同社の塚野英博執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)はその理由について、「2つある。1つは為替変動によるPCなどのハードウェア製品の収益性の低下を見込んでいること、もう1つはビジネスモデルの変革に伴う戦略投資費用を織り込んでいることだ」と説明した。

 同氏によると、その内訳は営業利益への影響として、前者がマイナス200億円、後者がマイナス300億円。「合計500億円の影響を想定しているが、これを加味すれば、中期経営計画(最終2016年度)で掲げている2015年度の営業利益2000億円の軌道上に乗っており、ビジネスモデルの変革を遂行することで、最終的に中期経営計画の目標数値(2016年度の営業利益2500億円)を超える形に持っていきたい」との目論見を示した。

戦略投資の不透明感が招いた株価急落

 発表会見には、6月に同社社長に就任する田中達也執行役員副社長も出席。同氏はビジネスモデルの変革に向けた富士通の課題について、「サービスビジネスの収益力を上げたい。当社はこの分野で一定の成長を遂げているが、ここ数年にわたって先行投資してきたビジネスのリターンを加速させる必要がある。また、サービスビジネスの強化に向けて社内の事業体制を見直し、総合力によってお客様に当社ならではの価値を提供できるようにしていきたい」と語った。

 さらに同氏は、「2015年度は業績目標の数値を下げてでも、こうした課題に対処すべきだと判断した。同時にすべての事業をあらためて精査したうえで、中期経営計画についても見直していきたい」とし、ビジネスモデルの変革や中期経営計画の見直しにおける具体的な内容については「別途、あらためて発表したい」と説明した。

 会見の質疑応答では、その具体的な内容について記者から質問が相次いだが、ついに「何をどうするのか。投資効果は明確に得られるのか」については明らかにされなかった。

 次期社長である田中氏のビジネスモデル変革に向けた並々ならぬ意気込みは感じられたが、「別途、発表する」とはいえ、300億円を投資する具体的な内容が示されなかったことに、何とも不透明感が残ったのは否めない。

 翌日の5月1日、東京株式市場において富士通の株価は一時、前日比19%安の643円20銭と値幅制限の下限(ストップ安)まで売られ、3カ月ぶりの安値を付けた。減益見通しもさることながら、これだけ急落したのはビジネスモデルの変革に伴う戦略投資の不透明感が大きく影響したのではないだろうか。

 株価に影響を与えることは同社も想定していただろうが、一時的とはいえこれだけ急落したことは真摯に受け止める必要があるだろう。不透明感を払拭するためにも、できるだけ早く会見を開いて明確な説明を行うことが求められるところである。


決算会見に臨む富士通の田中達也執行役員副社長(左)と塚野英博執行役員常務兼CFO

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