「ご指摘の点は重々理解している」と語る遠藤氏は、経営トップとしてひょっとしたらもっと高い目標を掲げたかったのかもしれない。そんな印象を持ったやりとりだった。
「Skype for Businessで日本のビジネスコミュニケーションを変えていきたい」 (日本マイクロソフト 織田浩義 執行役常務)
日本マイクロソフトの織田浩義 執行役常務
日本マイクロソフトが先ごろ、企業向けユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォーム製品「Skype for Business」を提供開始すると発表した。同社執行役常務でパブリック部門を担当する織田氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新製品の普及拡大に向けた意気込みを語ったものである。
Skype for Businessは、マイクロソフトが従来から企業向けUCプラットフォーム製品として展開してきた「Microsoft Lync」を名称変更したもので、Lyncの機能を踏襲しながら、個人向け無料テレビ電話サービス「Skype」のユーザーインタフェースや機能を追加したのが特徴だ。在席状況(プレゼンス)、インスタントメッセージング、音声通話、オンライン会議、VoIP外線通話などの機能を搭載し、オフィスアプリケーション「Microsoft Office」との連携も容易に行えるとしている。
Skype for Businessのくわしい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは織田氏の発言に注目したい。
同氏は日本のビジネスコミュニケーションを変えるSkype for Businessのポイントとして「Skypeとつながることで、企業の組織内のみならず外部も交えたコミュニケーションが広がる」点や、「より大規模な会議にも対応できる」点を挙げた。さらに、開発APIの提供により、ウェブサイトやアプリケーションなどとSkype for Businessを連動させて活用できることから、パートナー経由のビジネスも広がっていくと強調した。
マイクロソフトがSkype for Businessを投入したのは、世界に3億人を超えるユーザーが存在するというSkypeの知名度を生かして、企業のワークスタイル変革に向けて今後さらに市場拡大が見込まれるUCの事業を一層強力に押し進めていく狙いがある。個人向けの有力ブランドを企業向けにも活用した形で、まさしくマイクロソフトならではの製品戦略ともいえる。
ちなみに、織田氏はテレワーク推進の担当役員でもある。「Skype for Businessはテレワークなどによってワークスタイルを変革していくうえで、まさに中枢の役割を担うツールである」と重ねて強調していた。Skype for BusinessによってUC事業をどれだけ伸ばせるか、注目しておきたい。