シスコシステムズは5月18日、代表執行役員社長に鈴木みゆき氏が同日付で就任したことを発表した。2014年11月に平井康文氏が退任してからは、米本社アジア太平洋日本(APJ)のプレジデントであるIrving Tan氏が日本法人の社長を兼務していた。
1960年生まれの鈴木氏はオックスフォード大学を卒業。2011年に格安航空会社(LCC)のジェットスター ジャパンの立ち上げに参加、代表取締役社長を務めていた。
1997年にロイターで日本を含む東南アジア地域を統括する代表取締役を経験後、日本テレコム(現ソフトバンクモバイル)の専務執行役員兼コンシューマー事業本部長、裁判の判例や法令などのリサーチデータベースを提供するレクシスネクシス・ジャパンでアジア太平洋地域を統括する代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)、データセンターやネットワークなどをサービスを提供するKVHの代表取締役社長兼CEO(後に、代表取締役副会長)を務めている。
シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木みゆき氏
鈴木氏はこれまでにメディアや通信、ITなどの企業でトップを務めてきた。いわばシスコのユーザー企業でトップを務めていたことになる。日本市場の特徴として「高品質のサービスが重要。トラブルシューティングでの迅速な対応を求める。シスコは、ユーザー企業の声に誠実に対応してくれた」という経験があることを語った。
またシスコは「インターネット以後の世界でネットワークに革新をもたらしてきた先駆者」と表現。「接続性という点でも多大な変化をもたらしてきた」との見方を明らかにしている。
シスコに入社して日が浅いことから、具体的な事業戦略は明らかにしなかったが、「顧客と現場の声を聞いていきたい。ITの世界は変化が激しい。将来を見据えて、顧客に製品やサービスをどう提供していくべきかを考えたい」との思いを語った。
同社は米本社を中心にグローバルに展開していることから「グローバルでのベストプラクティスを日本市場に生かしたい。これから日本のユーザーとパートナーのニーズを把握し、(米本社に)その声を伝えたい」とし、これから米本社に行って話し合いを進めると説明した。
Cisco Systems アジア太平洋日本プレジデント Irving Tan氏
これまで6カ月間、日本法人の社長を兼務していたTan氏は振り返って「より日本を理解できた。製品やサービスは日本にあったものを提供することが重要だということを心の底から理解できた」と述べ、グローバルに展開する製品を日本向けにカスタマイズして提供していくとの考えを示した。
Tan氏は、日本について世界第3位の経済大国であり、「シスコにとって重要な市場。ITの活用も先進的」と解説。日本法人のトップは「日本人になってもらいたかった」とし、これまでに「ふさわしい資格がある人を探していた。日本市場を理解するとともにグローバルなベストプラクティスを経験したことがある人を探していた」という言葉で鈴木氏を評価した。
ジェットスターを立ち上げたという起業家の経験もあることも鈴木氏を選んだ理由とし、シスコ流“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”である「Internet of Everything(IoE)の技術をどう使えばいいのかを理解している」こともあって鈴木氏に白羽の矢を立てたという。