海外コメンタリー

IT企業10社のM&A戦略--スタートアップの出口戦略ガイド(後編) - (page 3)

Conner Forrest (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-06-18 06:15

8.Salesforce:SaaS界の王

 Salesforceは、もっとも抜きんでたSaaS企業の1つだ。そして、同社のM&A戦略は、SaaS市場のトップを維持するという目標と密接に結びついている。

 「Salesforceは通常、機能と製品ラインを拡張するために企業の買収を行っており、テーマに基づいてグループ化された投資(最近ではソーシャルやモバイルなど)を常に進めている。買収規模も数百万ドルから、数十億ドルまで幅があり、小規模なスタートアップ企業から、大手ベンダーまでが対象に含まれている」とDufour氏は述べている。


SalesforceのCEO、Marc Benioff氏
提供:James Martin/CNET

 Welsh氏は、同社は成長を持続しているため、他の企業に追い落とされる危険はあまり感じておらず、今後2年程度はあまり積極的にM&Aを進めることはないと予想している。

 しかし、Sakoda氏は、Salesforceはプラットフォームを拡大するための小規模な買収と、市場を拡大するための大規模な動きの両方を進める可能性が高いと考えている。

 Appleと同じく、Salesforceは既存の製品ラインに素早く組み込める企業を求める傾向が強い。Bartels氏は、同社は「Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudが持つ、歴史的に同社の中核をなしている機能を補完する、販売側のテクノロジ」を買収することが多い。

 それに加え、同社の中核的な製品を補完するため、電子商取引分野の企業を買収する可能性もあるという。

9.Twitter:若き大物

 Twitterはまだ若い企業であるにもかかわらず、M&Aについてはかなりの記録を残している。同社はすでに35社を買収しており、特にソーシャルツール、アナリティクス、広告分野での買収に力を入れているように見える。

 Twitterの買収は比較的小規模で、金額は数億ドルまでにとどまる。Dufour氏によれば、同社はこれらの買収を、プラットフォームに新たな機能を提供し、既存のチームに優秀な人材を呼び込むのに利用しているという。

 Dufour氏は、「Twitterは同社のプラットフォームを収益化するため、広告ソリューションや決済ソリューションも買収している」とも述べている。

 Antonelli氏によれば、Google同様、Twitterが買収した企業の多くはカリフォルニア州に本拠を置く企業だという。それに加え、Twitterがほかの新しい企業と結びついたことは、Y Combinatorのようなシードアクセラレータが育てた人材の多くが、同社に集まっていることを意味している。Y Combinatorのウェブサイトによれば、Twitterは同社が過去に支援したPosterous、Backtype、AdGrok、およびMoki.TVを買収している。

 Twitterの買収規模は、このリストのほかの企業に比べると比較的小さいが、Sakoda氏は同社の取り組みの進め方は賢明だと述べている。

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