本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NECの川島勇 取締役執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)と、コンカーの三村真宗 代表取締役社長の発言を紹介する。
「マイナンバー制度対応に関する引き合いがかなり活発化してきた」 (NEC 川島勇 取締役執行役員常務兼CFO)

NEC 取締役執行役員常務兼CFO 川島勇氏
NECが先ごろ、2015年度第1四半期(2015年4~6月)の連結決算を発表した。同社の最高財務責任者(CFO)である川島氏の冒頭の発言は、その発表会見で、ITベンダーにとっては新たな需要が見込まれるマイナンバー制度対応に関する動きについて語ったものである。
同社によると、2015年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.0%減の5865億円、営業損益は100億円の赤字となった。「売上高は計画値に対して100億円下回ったが、営業損益は想定内」(川島氏)という。赤字については通信キャリアの投資抑制が響いた形だが、IT関連事業は概ね好調に推移した。
特に、企業向けを中心としたエンタープライズ事業の売上高が、前年同期比25.5%増と高い伸びを示した。この要因について川島氏は、「流通・サービス業向け、製造業向けで共に大型案件があった」という。さらに「流通・サービス業向けは当初から好調に推移することが見えていた部分もあったが、製造業向けの受注の伸びは想定以上。今後の伸びにも期待を持てる動きだ」との感触を示した。
マイナンバー制度対応については、「当社としては公共分野から今年度で150億円規模の受注を想定しているが、第1四半期だけですでにその半分ほどに達している。さらに、企業からの引き合いもここにきてかなり活発化してきている。今後、これらの受注対応が広がっていくものと期待している」と、第1四半期に活発な動きが見られた様子。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。
とはいえ、同社のパブリック事業における第1四半期の売上高は、前年同期並みにとどまった。この要因について川島氏は、「マイナンバー関連需要については公共向けが好調に推移したが、前年同期にあった大型案件の影響により官公向けが減少した」としている。