実践から得た知見を更なる進化に使う
ただし、机上の空論でも意味がない。そこで、アイデアは、必ず「実践」的要素を持ってもらうようにする。つまり、実際に大なり小なり、アイデアを実践する機会をもってもらうのだ。フローとしてはこうなる。
- 2つの企業が出会う
- 自由にアイデアを出す
- 実際に少しでもやってみる
- より良いアイデアに修正向上していく
- ずば抜けたアイデアに育て上げる
- ビジネスとしての結果を出す
つまり、「知的交配研修」の初期段階では、1、2だけの実施となる。しかしそれではただのアイデア出しで終わってしまう。そこで、3と4の実践期間を設けることにする。3、4を繰り返すことで、さらに見えなかった課題や、想定外の可能性まで浮き彫りになってくる。
限られた時間内で、5、6の成果にまでつなげることは難しい。しかし、少なくとも3と4を繰り返せば、結果的に、何をすべきか、方向性が明確になっていくのである。 いわゆる知的交配と「リーンスタートアップ学習」を混ぜることで、より効果的な新商品の開発の可能性がでてくるのだ。
あらゆる業界が持つ硬直性
さて、今回、地方の事業者と、大企業での知的交配の事例をご紹介した。こうした事例は、大なり小なり、どの職場や地域でもどんどん始まっていくと予測してる。
単純な成長だけでは、時代の変化についていけない。短期間で成果をあげたければ、知的交配を実践していくことをお勧めする。
最後に、これまでの弊社の研究から、知的交配がうまくいく企業や人の特徴をあげておきたい。
交配をするためには、自社(あるいは自分)に最低限の強みがあることが重要だ。相手にないリソースがあるからこそ、相手も自分と組んでみたいと思ってくれるのである。
ただし、多くの企業はそれを聞いて悲しむ。ああ、自分たちには強みがないのではと……。
しかしそこで諦めるのはまだ早い。もう一つ、長年のコラボ支援でわかってきたことがある。それは自分の強みや価値は、自分からは見えないが、相手からは見えやすいということだ。
他業種、他年齢、他国籍の人々と話をする機会を増やそう。そこから見えてくる可能性をブラッシュアップしていってほしい。
- 得能 絵理子
- 早稲田大学卒業後、株式会社アクティブラーニングに入社。「能動性喚起(アクティブラーニング)」をテーマにキャリア育成、企業改革、地方自治体改革のプロジェクトなどに従事。また、クリエイティビティやチームワークを始めとするヒューマンスキルも企業や教育機関で指導。日経新聞社主催セミナーや、日経BP社ビズカレッジPREMIUMで講師を務めるなど、数百名を超える参加者も能動的に巻き込むワークショップは定評あり。