アクティブラーニングなど、教育や研修の新手法から組織改革のヒントを探る連載。今回は「知的交配」という取り組みを解説する。
高知県の農家商品が香港で大ヒット
高知県の山間で、お茶を作っている農家がある。味には自信があるというこのお茶は、全国的には全く知られていなかった。その農家の商品が、香港で発売と同時にヒット商品となり、続々とファンが増えつつあるという。 この農家はなぜ海外への進出をいきなり成功させたのか。鍵は「知的交配」にあった。
茶作り以外には何も知らないというこの農家が、海を超えた販路開拓に成功したのは、高知市役所が開催した「コラボセミナー」に参画したことがきっかけだ。
地方自治体が続々導入するコラボセミナー
コラボセミナーとは、公的機関などが主催者である、別事業の事業者のコラボレーション(協業)を促す取り組みである。毎回、3~40人(多い時は数100人)で開催される、2009年に国立山口大学で始まったこの取り組みは、これまでとは違う成果が期待できるということで、既に北海道や千葉、山梨、京都、愛媛、徳島、高知、山口、沖縄の公的機関(あるいは地方銀行や商工会などの地元に根付いた団体)で開催された。今年はそこに、宮崎、熊本が加わろうとしている。
具体的には、セミナーに集まった1次産業、2次産業、3次産業の事業者が4~6人でテーブルに座り、商品開発や販路開拓で協業できないかを話し合う。 普段、会う機会がない別事業の事業者が同じテーブルに座り、ディスカッションをすることで、今までにない発想、行動につながることを目指そうというものだ。
ただし、いわゆる異業種交流とは趣が異なる。異業種交流では、ただ属性の違う人が集まり、何をするかは参加者に任されていることが多い。これでは話べたの人、厚かましいぐらいの能動性がなければ得るものは少ない。 コラボセミナーの場合、公的機関が、参加者の募集をするが、意図的に実力のある事業者や、この事業者とこの事業者を「交配」させてみたいといった意図的な声がけも積極的だ。これによって、偶発的ではなく、必然的な交配が可能になる。