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人材育成の新手法「アクティブラーニング」

不自由さが創造性を生み出す--制約の向こうにある進化 - (page 2)

得能絵理子

2015-10-11 07:00

制約がインターネットで大ヒットを生み出す

 制約や制限が生み出したサービスは、時に驚くべきイノベーションを生み出す。

 若者に大人気のTwitterは140文字という文字制限が有名だ。一見、文字数が多いほうが豊かな表現ができそうな気がする。実際には逆だった。140文字に制限することで、その制約の中でどういう表現をするかを考えなければならない。

 多くを語れないので、逆に伝えたいことをシンプルに語り合うコミュニケーションスタイルが育っていった。これまでにない新しい対話を楽しむ若者が急増した。日本でのユーザー数は、ほぼ2000万人に到達しようとしている。

 世界中の10代に大人気のVINE。動画の再生時間はわずか6秒。6秒でできることには限りがある。限りがあるからこそ、その中に自分の世界観を閉じ込めようとユーザーは試行錯誤する。制約はスポーツにおけるルールのようなものなのだ。ルールはその上でできる最大限の努力を促す魔法の杖となる。


Vine Twitter Snapchat(Vine Twitter Snapchat提供)

 6秒という限られた時間の中で、多くの人に興味をもってもらうためには、いかに驚きを演出するかがポイントだと考えたZach King氏の作品にもヒントがある。普段の部屋が突然、大人数の部屋に変わったり、隣にいた友達が一瞬で消えたり……。実際には起こりえない映像に、世界中の若者が熱狂した。VINEのサービスが始まったのは2013年の1月。まだサービス開始から3年未満でKing氏のフォロワー数はあっという間に2500万人を超えた。動画再生回数はトータル5億回を超える。

 King氏は今や「6秒の魔術師」と呼ばれ、世界中からCM作成のオファーが殺到しはじめた。今年はあの世界的ブランドNIKEのCM制作にまで関わったという。制約は今までになかった仕事と新しいスターを世の中に輩出したのだ。

 送った写真や動画が10秒で消えてしまうフォトメッセージングサービスのSnapchatの場合はどうか。これまでのメッセージサービスは、当然のことながら、送られたメッセージを大切に保管してくれるというものだった。Snapchatはその逆である。送った写真や動画を、相手が見た10秒後に消してしまい、永久に見られなくしてしまうサービスだ。

 「ばかげたサービスだ。誰が使うんだ」といった声を尻目に、多くの若物がこのサービスを使い始めた。ふざけた写真や自分のヌード写真などを共有したいティーンエージャーにぴったりのサービスだったのだ。サービスはあっという間に国を超え、世界中のティーンエージャーに広がっていた。今や1日あたりのアクティブユーザー数1億人だ。

 Snapchatのユーザー数が急速に広がっていったことで、2013年、FacebookからSnapchtに30億ドルの買収提案がなされた。日本円にして約3600億円。この時、創立者のEvan Spiegel氏は、わずか23歳。Spiegel氏はこの提案を退けた。もったいないと言うなかれ。その後、Snapchatの会社評価額はうなぎのぼりとなり、今や会社の評価額は160億ドルを超えると言われている。

  • 140文字しか投稿できないTwitter
  • 6秒動画のVine
  • 10秒で消える動画Snapchat

 3つのサービスに共通するのは、ユーザーの表現に「制約」を設けたことだ。自由に任せるのではなく、「制約」というルールを設けることで、遊び方が明確になる。遊び方が明確になると、ユーザーは全力でそのルールの上で創意工夫をこらすようになる。結果、全世界規模での進化が始まるのだ。

 メールは長々と書くことができる。動画も好きなだけ撮影することができる。今、インターネット上でできる当たり前のことにほんの少し制限を加える点にイノベーションの大きなチャンスを隠れている。

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