一方、競合他社はためらうことなく、この買収に水を差す動きに出てきている。Hewlett-Packard(HP)のCEOであるMeg Whitman氏はHP Enterpriseの社員に宛てた電子メールのなかで、大企業である両社の合併によって従業員や経営陣に大きな混乱がもたされると警告した。
また、買収手続きが完了するのは2016年の半ばになる可能性もある。しかし、調査会社451 Researchが買収発表直後に実施した調査によると、顧客の認識は楽観的なものとなっている。同調査に回答したIT部門の意志決定担当者のうち、この買収を否定的に捉えている人たちが20%いる一方、肯定的に捉えている人たちは31%に及んでいる。
とはいえ、Dellの顧客が特に肯定的である反面、EMCの顧客は強い懸念を抱いている。
451 Researchは、Dellの既存顧客の多くがPCからサーバに至るまでの広範囲な製品の購入に慣れ親しんでいる一方、ストレージ製品を購入しているEMCの顧客や、仮想化製品を中心に購入しているVMwareの顧客は、Dellを単なるPC企業と見なしている可能性があるため、Dellの顧客の方が買収による恩恵をイメージしやすいことからこのような温度差が生み出されているのだろうと分析している。
また、451 Researchのアナリストらは、「当面の間、IT部門の意志決定者らのもとには、競合企業の営業担当者が数多く訪れるだろう。Dellは自社製品すべてについてのロードマップと、サポート、企業としての計画について明確かつ確固たる言葉で語る必要がある」と述べ、競合企業がしばらくの間、不確実性に乗じようとするだろうと警告している。
全体的に見た場合、アナリストらはDellによる買収を歓迎している。Forrester Researchのサービス担当ディレクターGlenn O'Donnell氏は、この買収が業界全体に良い結果をもたらすと考えている。
同氏は「今回の買収により、データセンター向けとして統合された一連のテクノロジが生み出されるだろう」と述べるとともに、Michael Dell氏は期待以上の業績を上げてきたとして、「同氏(Dell氏)は会社運営のために優れたチームを編成しており、顧客はDellという企業に満足しているようだ」と述べた。