低成長時代になぜクラウドか?
Hurd氏はスピーチのほとんどをステージに上がらず、顧客と同じフロアで行った。まずHurd氏は、クラウドは”必然”である背景について説明する。
企業は生き残りの状態であり、収益の成長は1%など低いところがほとんど。成長はコスト削減に頼るしかない。IT支出は横ばい状態で、2015年単年を見ると前年比5%のマイナスだ。
激動のIT業界を語るHurd氏
企業のITには課題が多い。まずはアプリケーション。インターネット、モバイル、検索、ソーシャル、そしてクラウドの前に構築された20年前のアプリケーションが多くを占めている。古いアプリケーションは技術的な負債を生む--「予算の75%がメンテナンスに割かれている。セキュリティと規制遵守のために多額の投資が必要になっている」とHurd氏は問題を指摘する。
この状態に拍車をかけるのが労働者の人口構成だ。ミレニアム世代といわれる若者が職場に入ってきており、フリーランスの起用など雇用形態にも変化がでている。ミレニアム世代はデジタルネイティブで期待が異なる。もちろんコンシューマー側でもミレニアム世代の要求に応じる必要がある。
「ITにかつてないほどのプレッシャーがかかっている。これがITの予算が減少する中で起こっている」とHurd氏。
IT業界も大きな激動にある。Hurd氏は、EMC、Teradata、NetApp、Dell、Hewlett-Packard、IBMの社名が入ったスライドを見せながら、これら6社の合計の売上高は2年間で164億ドル減少したと述べる。
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その分をSaaS企業が売り上げているのかというとそうではない。SaaS企業は年15%で成長しているが、売上高の規模は80~90億ドル程度、とHurd氏は見積もる。その間、Oracleは7%で成長したという。「業界に大きな変化が起きている」(Hurd氏)。
厳しい環境にあるが、これらの解となるのがクラウドだという。そして、「複雑性が少なく、コストが下がり、信頼性のある環境を提供し、迅速なイノベーションを可能にする」とクラウドブームにつながっているクラウドのメリットを挙げた。
Oracleは標準を土台としたベストオブブリード型のスイートアプリケーションを持ち、拡張のためのプラットフォームも備える。「SaaS、PaaS、IaaSと3つのクラウドレベルをそろえるほか、オンプレミスとクラウドでの共存も可能」とHurd氏、「これらを満たす企業はない」と言い切る。