クラウド技術を利用している企業の数は増え続けているが、その多くはまだチャンスを生かしきれていない。この記事では、2016年に検討すべきアイデアを紹介していく。
調査によれば、2015年には企業の88%が何らかの形でクラウド技術を利用していた。にもかかわらず、多くの企業はクラウドを生かし切れているとは言えない。この記事では、10のヒントを紹介しよう。
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1.アプリケーションの開発とテスト
一部の大企業は、アプリケーション開発とテストをクラウドにアウトソースすることで、自前のデータセンターの高額なハードウェアアップグレードを先延ばししたり、あるいは完全に無くしてしまったりしている。これらの企業は、アプリケーション開発とテストをクラウドで提供されているオンデマンドの借り物のインフラ上で行い、本番環境にインストールする準備ができた時点でそのアプリケーションをインポートするという方法をとっている。
2.災害復旧のためのバックアップオプション
大企業は災害復旧やフェイルオーバー時のために、世界中に配置されている複数のデータセンターにリソースを分散している。しかし、多くの中小企業はそこまでの対応を取れていない。自前のデータセンター内に基本的な災害復旧バックアップの仕組みを用意している場合でも、 万が一すべての社内システムが機能しなくなった場合に備えて、第3の選択肢としてクラウドを追加の仕組みとして使うという選択がある。
3.買収企業を社内エンタープライズシステムに統合する際の入口
新たに企業を買収した際、その企業がERP(エンタープライズリソースプランニング)などの複雑なエンタープライズシステムで異なるシステムを使用している場合、それを既存の社内システムに完全に統合するには何カ月もかかる。買収企業のシステムを完全に統合するまでの過渡的な措置として、一部の企業は、現在社内で使用しているシステムの汎用的なクラウド版を使用して、買収企業を素早くそのシステムに移行させ、新しい従業員のトレーニングを行っている。統合作業が完了したら、それらの従業員を統合後のエンタープライズシステムに移行させる。企業全体を徐々にクラウドに移行する場合もある。
4.トレーニング
メーカーや企業自身が提供しているトレーニングプログラムをクラウド上に保存しておくことで、従業員がいつどこからでもブラウザでアクセスできるようにしておける。
5.技術的な専門性とビジネスプロセスのアウトソース
SaaS(サービスとしてのソフトウェア)クラウドプロバイダーは、アプリケーションホスティングサービスと、特定の事業分野における専門性を提供している。企業が社内のプロセス(請求書に対する支払いや、提供しているサービスの料金決済など)に関する長期的な問題を、会計とクラウドの両方のノウハウを持つSaaSプロバイダーを利用することで解決している企業もある。ほかの分野でも、専門性を提供するSaaSベンダーは存在する。