次世代CIO

デジタル化への処方箋--IT部門の創造的破壊のために - (page 3)

高橋秀

2016-04-26 07:00

コネクテッドエコシステム

 企業が今後さらに収益を拡大し、マーケットでの地位を確立していくためには、利害関係のある企業間におけるアプリケーションの相互接続性を向上させ、ソフトウェアにより市場を開拓していく必要があります。コネクテッドエコシステムは、ビジネスパートナーや顧客とのエコシステムだけでなく、IoTとも接続する技術的な手段を提供します。電話やタブレット、PCだけでなく、産業機械、自動車、ウェアラブルデバイスなどあらゆる場所でコネクテッドエコシステムが運用されることによって、製品が“ハイブリッドサービス”に転換されます。

 例えば、ある産業機器メーカーでは、機器の稼働データをクラウドを通じて収集し、ディーラーやフィールドサービスの会社にポータル形式で提供しています。これによって、顧客に対して故障時の早期対応や故障予測による悪影響の回避といった高品質なサービスを提供するだけでなく、これらのサービスを提供する機会をディーラーやフィールドサービスに提供しています。

 また、ある農業重機メーカーでは生産者向けに、生産する農作物に合わせた手順、天候に応じた水やり、肥料の量、収穫時期の目安といった情報を重機に据え付けられた端末に配信しています。生産者は適切なタイミングで肥料などを購入できるだけでなく、最終的には効率的な生産による収穫量の増大を見込むことができます。農業重機メーカーは従来重機販売を生業としていましたが、コネクテッドエコシステムにより、重機を無料貸与し、増産分に比例した成果報酬型のサービスモデルへと変革しました。

新しいITエコノミクスによる課題解決事例

 新しいITエコノミクスが目指す3つの目標ごとに実際の事例をご紹介します。

目標1: 既存IT基盤管理効率の最大化

 IT部門のリーダーは、稼働中のコアITシステムに過剰なリソースを費やしていることに気が付いています。新しいITエコノミクスの第1の目標は、この既存コアITシステムの維持管理コストを、機能面やセキュリティ面の性能を維持したままリソースを効率化し、ビジネスに費やされるITコストを削減することです。

 この目標達成に必要なテクノロジや方法論は、クラウド、サービス型ソフトウェア、ハイブリッドITから、マネージドサービス、サービス管理、変更管理にまで及びます。

 あるグローバル一般消費財メーカーでは、情報を75カ国4万7000人の従業員に「いつでもどこでも、どのデバイスにも」提供できるようにする必要がありました。われわれは統合型のコミュニケーション・コラボレーション分野でクラウド戦略とインテリジェント・プラットフォーム、マネージド・サービス移行サービスを提供しました。

 結果として同社が当初予想していた移行時間を58%も下回り、効果として、旧態以前した企業文化に変化をもたらし、Skype for Businessを使いこなすことで生産性を改革。クラウド基盤を提供することで、企業が場所にとらわれないワークスタイルへのデジタル変革の道を進むようにしました。

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