米国時間3月31日にあったTesla「Model 3」の発表イベントの動画を観た人のなかには、Appleの製品発表会――それも近年のそれではなく、オリジナルMac発表のそれをを思い出した人も少なくないかもしれない。
つまり、それくらいすごい参加者の盛り上がりようだったという意味だが、いずれにせよ待望の「Model 3」に対するTeslaファンや潜在購入希望者からの期待は相当高まっていたらしく、受付開始の3月31日から3日間の予約台数は27万6000台あまりに達し、事前に出ていた外部アナリストの予想を2~3倍も上回ったといった話がいくつかの媒体で報じられていた。
また「実際に製品(のプロトタイプ)が発表される前から1000ドルの預託金を払って申し込んだ人が世界で10数万人に及んだ(その一部は、各地のディーラーで行列に並んだ)」「TeslaはModel 3の分だけで、ざっと116億ドルの受注残を抱え込んだ計算」(1台の平均売価が4万2000ドルで、それに27万6000台を掛けたのがこの金額)「納車時期は早い人でも来年後半、遅い人では2020年頃になりそう」といった話も見かけた。そのあたりの話題は他の日本の媒体でもきっと報じられていたかも知れない。
ところで、発表会の動画を見ていて私が一番感心したのは「Model 3」のなんともすっきりとしたダッシュボードだったが、ハンドルと15インチのタッチディスプレイしかないあのダッシュボードには賛否両論が集まっていたらしい。
またそうした疑問の声に配慮したのか、Telsaの最高経営責任者(CEO(であるElon Muskが「実際に納める製品には、宇宙船のような感じのする操縦システム("Steering controls andsystem")を搭載するよ」とツイートしていたことも伝えられていた。
(ディスプレイだけが浮かび上がるModel 3内部の様子)
あのダッシュボードのデザインについて、発表会の後にModel 3を試乗したThe Vergeの記者が、「これは自動運転車を想定したものではないか」などと憶測していたのも興味深い。「Model S」(既存の上級車種)のインテリアデザインを気に入っているというこの記者は、「いくらTeslaが”大衆向け”である「Model 3」のコストを抑えなくてはならないといっても、3万5000ドル(ベースモデルの価格)で売られている他社の小型高級車のなかには、もっと魅力的あるいは色気のある内装デザインのものが少なくない」とか、「まだ完成とはほど遠いものを見切り発車で出してきたという可能性も考えられるが、Tesla関係者はあのデザインがほぼ完成版(量産可能な状態、"production-ready")と言っていた」などと記した末に、「一番考えられそうなのは、TeslaがModel 3を自動運転車として設計したからではないか」との考えを述べている。
人間がハンドルを握ることがない(あるいは機会が限られている)のであれば、たとえスピードメーターなどが少々見づらいところ(ディスプレイ上の左上)にあっても大した問題はない、といった根拠の説明もある。