セントラル短資FXは、リアルタイム性の高い外国為替証拠金取引(Foreign eXchange:FX)サービス利用者に提供する通貨ペアレート配信の高速化に取り組む中で、ネットワーク機器構成を見直し、ボトルネックとなっていたファイアウォールの性能を改善した。F5ネットワークスジャパンが4月20日にユーザー事例として公表した。
FXは、極めて高い速度で取引され、コンマ数秒の間に通貨間のレートである通貨ペアレートが大きく変動してしまうことが珍しくない。システム処理速度はFXユーザーにとって有利な立場を得られるかどうかの問題となっており、FX事業者もユーザーのニーズに対応するため、システムの処理速度の向上に積極的に取り組んでいる。
セントラル短資FXは業界最速レベルといわれるスピードでレートを配信しており、システムの処理速度を高速化させる新サービスの導入に向けて、レート配信の高速化に取り組んでいた。だが、既存のシステム基盤では、ファイアウォールの性能がボトルネックになり、目指す処理能力を確保することは困難な状況だった。この問題を解決するため、ネットワーク機器構成の見直しを進めていた。
セントラル短資FXのデータセンター構成(F5提供)
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機器選定には、新サービスが必要とする処理性能を確保できるだけでなく、ISP回線の冗長化(マルチホーム)に対応できる回線負荷分散機能が提供されていること、ファイアウォールやロードバランサなどの機能を1ボックスで実現できること、運用を効率化できるスクリプト言語が用意されていること、HTTP/2などの最新技術にもいち早く対応していることなどの要件が挙げられ、これらの要件をすべて満たすものとして「F5 BIG-IP」が採用された。
セントラル短資FXはこれまで、急激な相場変動や機能追加時の性能の安定性維持が課題となっていた。BIG-IPへの移行でシステム基盤の処理能力が向上し、チャイナショックや世界同時株安による変動時でも安定してレートを配信できたという。
2月からチャート画面で取引する新サービスも提供している。BIG-IPではSSLアクセラレーションも行われているが、BIG-IPのキャパシティには十分な余裕が残されているという。