企業の財務状況をリアルタイムに把握するクラウドサービス「Kyriba Enterprise」を2012年から販売しているキリバ・ジャパンは4月28日、会見を開催。製品の概要を説明するとともに、コニカミノルタによる事例を紹介した。
直近の1月に新社長が就任している。Kyriba Enterpriseの料金は、利用する機能や規模によるが年額500万円程度から。
キリバ・ジャパン 代表取締役社長 桑野祐一郎氏
Kyriba チェアマン兼CEO Jean-Luc Robert氏
サンブリッジコーポレーション 創業者兼グループCEO Allen Miner氏
Kyriba Enterpriseは、同社が「Treasury Management」と呼ぶ分野のソフト。Treasury Managementとは一般に資金管理システム(Cash Management System:CMS)にリスク管理の機能を加えたものとされている。
複数の銀行、複数の子会社、複数の統合基幹業務システム(ERP)と接続し、グループ企業全体で入出金を管理する。「グループ全体で今現在どれだけの現金を持っているのか」といった財務状況をリアルタイムに把握できるようになるので、余っている現金を有効に投資できるようになる。
キリバ・ジャパンで代表取締役社長を務める桑野祐一郎氏は、グループ全体の財務状況を把握できていないと、せっかくの現金が無駄になると指摘する。
「会計上の現預金が200億円あるからといって、本社はその全てを自由に使えるわけではない。現預金の10%も使えない企業が多いのではないか。大事な資金をExcelで手動で集計していていいのだろうか」(桑野氏)
「従来、財務管理はExcelとメールで行われていた」と、米本社チェアマン兼最高経営責任者(CEO)を務めるJean-Luc Robert氏は指摘する。これをKyriba Enterpriseに移行すべきとした(図1)。
株主の1社、サンブリッジコーポレーションで創業者兼グループCEOを務めるAllen Miner氏も、「Excelとメールで行っている業務プロセスは、CRM(顧客情報管理システム)やSFA(営業支援システム)同様、真っ先にクラウドサービスに移る」と指摘する。
手元資金を2000億円から1100億円に削減
会見では、Kyriba Enterpriseの国内導入事例として、コニカミノルタの事例を紹介した。コニカミノルタは(1)資金の可視化、(2)為替管理の強化、(3)インハウスバンキング――という大きく3つの目的で導入したという。
(1)資金の可視化で手元にある資金を導入前の2000億円から導入後の1100億円へと半減させることに成功した。導入前は、事業法人の資金を本社が把握できていなかったため、子会社が多めに資金を持っていた。
資金の可視化で多くの資金を持たずに済むようになった。余った資金を本社が把握し、使うべきところに回せるようになった。バランスシートの改善に極めて役立ったという。
(2)為替管理でロシアのルーブルやトルコのリラのような新興国通貨の為替変動によって差損を起こさないようにした。(3)インハウスバンキングは、グループ内の企業間取引に現金を介在させない手法によって銀行の手数料を削減した。
図1:資金を戦略的に活用するためには自動集計の仕組みが必要