--タブレット、スマートフォンなどモバイル対応はどうか?

タブレットについては、日本ではそれほどでもなかったが、米国では特別なフォーマットを作るなど力を入れた時期があったりなど業界全体が力を入れていた時期がありました。現状として、eマガジンのフォーマットについては、出張が多い30~40代の男性など一部にニーズがあるかもしれませんが、まだはっきりしていません。
現在、中心はスマートフォンだと思っています。われわれは2015年、すべての媒体でのスマートフォン対応を完了しました。広告についても、スマートフォンで特別なキャンペーンを展開するなどのことを進めていきます。コンテンツ側でも、MediaOSはレスポンシブデザインなので、PC、スマートフォンなど自動で対応します。
課題として、PCとスマートフォンはインプレッション単価が異なるので、今後どうするかを考えています。
--若者などはFacebookなどのソーシャルサービスで必要な情報を得ている。ファッショントレンドも雑誌を読むまでもなくソーシャルメディアで十分という層も考えられる。デジタルネイティブにどうやって訴求する?
ソーシャルメディアとの連動を進めています。米国ではFacebook、Snapchatなどが中心ですが、基本としてプラットフォームに中立に、すべてのプラットフォームでコンテンツをどのように開発し発信するかというところを追求しています。ソーシャルは優先順位が高く、死活問題といってもいいかもしれません。
キュレーションメディアも含めて、ソーシャルは基本的に歓迎しています。課題はマネタイズで、コンテンツをただでシェアするという時代は終わりました。技術企業とメディア企業との売り上げシェアは今後重要になります。
--データの分析と活用はどのぐらい進んでいる?
基本的に弊社のメディアに接触するお客様のデータをもう少しきちんと扱おうというところからスタートしています。われわれはこれまでコンテンツの力で育ち、ユーザーや読者を獲得することができました。
このデータはわれわれがきちんと扱わなければダメだと思っています。これは、われわれメディアの世界が変わっていく流れで重要なポイントになっています。データが誰のものか、データに基づいたビジネス展開が求められています。もちろん、プライバシーの問題もあります。
ユーザーがどんなコンテンツに接していて、どんなものが好きかを分析できるシステムを2015年に導入しました。これを使って、お客様が読みたいと思うようなコンテンツを表示するといった取り組みを進めます。
現在ボトムアップでEC事業であるエル・ショップを中心に進めており、ここでアクイジション(獲得)、リテンション(維持)、コンバージョンなどを測定しています。ここで培ったノウハウを今後全社的に活用します。そこはトップダウンとなります。
データだけではなく、タッチポイントとしてイベント、そして定期購読者もあります。デジタルのデータビジネスと平行してCRMを同時に進めていきます。定期購読は20年前から力を入れており、他の出版社と比べると多いと自負しています。ここにもビジネスチャンスがあると思っています。
MediaOSではオーディエンスの数を増やすだけではなく、質の改善も図ります。データをきちんととって分析するということを広告主と一緒に進めていきます。