ブロックチェーン団体の設立
ブロックチェーンについては、2016年4月に関連団体が立ち上がりました。「日本価値記録事業者協会」から発展的に設立された「日本ブロックチェーン協会」(JBA)と、「ブロックチェーン推進協会」(BCCC)がありますが、金融に限らず、社会において役立つインフラとなっていくための、ブロックチェーンの制度整備は重要なテーマの1つです。
伊藤譲一氏が仰っているように、「プロトコルとしてのブロックチェーン」というテーマからみると、まだそのセキュリティや頑強性には問題がある状態です。それを良くするための仕組みは、海外ならR3コンソーシアムのように金融機関の連合の形をとるケースもあれば、J.P. MorganやNASDAQのように個別企業が社内研究するケース、HyperLedgerのようにオープンソースベースで進めていくケースなど、いろいろなパターンがあります。そして、まだ基礎研究的な進展が待たれているというフェーズでもあります。
まだそのような技術の段階であり、例えば「銀行の基幹系システムをブロックチェーンで代替できるか」という問いに結論を出すのは尚早です。最終的なゴールはあらゆるシステムの効率化、高度化になりますが、それはまだだいぶ先の世界です。
ブロックチェーンの実証実験
実際に機能する仕組みを実験した点では、日本は先を行っている面もあります。例えば住信SBIネット銀行の実験は、ある特定条件下ではブロックチェーンが銀行で使えるというのは大きな結果を示しました。海外のケースでも、なかなかそのレベルの実験はできていません。
しかし銀行内でのトラストフリー型の構造と、銀行間や部外者が混ざるような環境でのトラストフリー型の構造では議論がちがいます。悪意のあるプレイヤーが入りうる中で、全体に影響を与えない制度が作れるかは未知の領域です。
これから何段階もテストを実施し、それでも大丈夫だったものが各国の金融システムにおけるセキュリティスタンダード上、許容されうるという段階となったら、やっと銀行に取り入れられる。そういう、制度的なハードルを乗り越えるという認識が必要があると考えます。
この記事はマネーフォワードの 瀧 俊雄氏が語った内容をZDNet Japan編集部が再構成している