座談会@ZDNet

AWSに負けずに新規事業を成功させる方法--次世代SIer座談会(3) - (page 4)

山田竜司 (編集部) 小船井健一郎

2017-02-10 07:00

 小野氏:普通、社内ベンチャーってほとんどは失敗するという認識です。うまくいったのはなぜだと思いますか。いろいろなチームを一緒にし、内製化を早めにしたということもあるんでしょうけど、やはりそれを判断する人がいたんでしょう。

 林氏:成功したのは、不完全でもサービスを出していったからだと思います。今までは石橋を叩いて渡る感じだったんですけど、営業を挟まないから、かなりベータ的なかたちでバンバンサービスを出していった。そこが最大の勝因です。営業を入れず、怒られたら自分たちで責任を取る。最初のうち、僕は謝り侍でしたよ(笑)。けっこう謝りに行ってましたけど、そういうことを繰り返してやっていったのがよかったのかもしれない。大切なことは内製の意識、オープンソースを使うという意識です。あとはアジャイル開発的なものをやっていくことです。


アバナード ケイパビリティ・デベロップメント・ディレクター 和田玄氏

 和田氏:人間を集めても、仕事がなければどうしようもない。だから、なるべくさまざまなバックグラウンドを持つ人を入れないといけません。組織をつくるよりも先にサービス・仕事につなげないと、ビジネスは立ち上がらないと思います。

 安田氏:さっきCloudStackの話が出ましたけど、あの時は林さんが責任者として内製化すると判断されて、思い切り舵を切られたような記憶があります。そこからずっと、いい感じで来てますよね。林さんがトップにいたからこそ、経営者も腹をくくったのかな、と。

 林氏:チームには、入社3年目ぐらいの人が半分ぐらいいました。クラウドについてほとんど知らない人ばかりだったんですが、逆に言えばみんなすごく勉強するんです。みんな自主的に勉強し、ゼロからつくっていった。とにかく専門家を連れてこないで、ほとんど自分たちでやりました。

 安田氏:たとえば一緒に仕事をしているKDDIは自分たちだけでやってるんじゃなくて、最初にコンサルを入れています。KDDIは今、アジャイル開発センターというのを新宿に立ち上げてます。全員が内部の人ではなくて、われわれとか外部の人も入ってセンターを立ち上げた。でもその前のKDDIは、開発者がほとんどいない状態だったんですよ。

 やったことのない人たちがスタート地点でチームに入り、徐々に広げていった。あれも藤井彰人さん(KDDIソリューション事業企画本部副本部長・クラウドサービス企画部長)が決断したんですよね。藤井さんは富士通、サン・マイクロシステムズ、Googleを経てKDDIに入った。彼の決断があったからこそ、あんなに広がっている。そういうのがないと、新規事業というのは成功しないと思います。

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