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FinTechの実際

金融機関が「FinTechベンチャー恐怖症」になる理由 - (page 2)

小川久範

2016-12-14 07:00

 他方、金融機関や大手企業のコンプライアンス対応が完璧かというとそうではない。不正があった金融機関が金融庁から処分を受けることもあれば、粉飾決算に至った上場企業が上場廃止になることさえある。取引上のリスクがあるのは、大手企業も同じである。

 また、カルチャーの違いについても、単に立場が異なるに過ぎない。スーツにネクタイを着用する人間は、慣習に従っているだけで自分の頭で何も考えていないと、ベンチャー側は思っているかもしれない。むしろ自分達とは異なる存在だからこそ、ベンチャーと接する意味がある。ベンチャーか大手かに関わらず、ビジネスパートナーとして相応しい相手か否かは、自分達の目で見極めていくしかない。

FinTech起業家とはどのような人達か

 FinTech起業家は、ネットベンチャーの起業家と比べると年齢層が高く、30代から40代前半が中心である。当然ながらこれまでに社会人として経験を積んできており、金融機関出身者、大手ITベンダー出身者、元研究者、シリアルアントレプレナーなどさまざまな経歴の人がいる。ただし、エンジニア出身の最高経営責任者(CEO)は、ネットベンチャーと比べると少ない印象を受ける。海外の大学やMBAを修了し、英語によるコミュニケーションを苦にしない人も多い。女性起業家はあまりいないが、それはFinTechに限った話ではない。ベンチャー全体と比較すると同程度の印象だ。


 FinTech起業家の特徴として、コンプライアンス意識の高さが挙げられる。金融という規制と無縁ではない業界で事業を推進するのであるから、当然といえば当然だが、規制がかからない領域での事業を志向する傾向が強かったこれまでの起業家とは異なる。

 当局とのコミュニケーションにも積極的で、業界が確立する前からFinTech協会という業界団体を設立し、個々の企業としてだけではなく、業界としても規制対応に動いている。業界内の競争が激しいため加盟企業の仲が悪く、まとまりを欠く業界団体もある中で、FinTech起業家同士は親しい関係にあり、FinTech協会を中心にまとまっている印象である。

 金融機関に対するFinTech起業家の姿勢は、総じて友好的である。既存の金融サービスを破壊し、市場を独占しようと考えるFinTech起業家に、少なくとも筆者は出会ったことがない。日本の金融サービスをより良くするために、金融機関との協業を望んでいる人が多数派と思われる。

 実際に、FinTechベンチャーの中には、金融機関との資本・業務提携を推進しているところがある。提携に至らなくても、金融機関と情報交換しているベンチャーは少なくない。FinTechベンチャーと金融機関は得意とするところが異なり、協力できることを、FinTech起業家は理解している。

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