冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。では、富士通のAIサービスにおける優位性とは何か。阪井氏は、「お客様との共創や社内実践で培った業種・業務ノウハウをAPIとしてサービスメニュー化していること」「30年にわたるAI研究と、スパコンで培った世界最速クラスのディープラーニング技術などの最先端・独自AI技術を保持していること」「AI専門技術者とデジタルフロントSEにより、AI活用をトータルに支援できること」の3点を挙げた。
富士通が今回発表したAIサービスの内容は、確かに競合するグローバルベンダーのサービスと比べても引けをとらないと感じる。課題はグローバルに向けてどう“発信力”を高めていくかだろう。
「グループを超えたソーシャルウェアを広めていきたい」 (テラスカイ 佐藤秀哉 代表取締役社長)

テラスカイの佐藤秀哉 代表取締役社長
テラスカイが先ごろ、5月に提供開始したクラウドベースのグループウェア「mitoco(ミトコ)」がSOMPOホールディングスグループの情報システム子会社であるSOMPOシステムズに採用されたと発表した。佐藤氏の冒頭の発言は、その発表会見で、mitocoをグループウェアより幅広く活用できるコミュニケーションツールとして位置付けた「ソーシャルウェア」として広めていきたい考えを示したものである。
mitocoは、社内での情報共有にとどまっていた既存のグループウェアとは一線を画し、ネットワークを介して社外ともコミュニケーションを取れるようにしたのが最大の特徴だ。こうした活用範囲の広さから、テラスカイではmitocoをソーシャルウェアと銘打って提供している。
また、mitocoは同社が豊富な取り扱い実績を持つSalesforceのクラウド基盤上で開発されていることから、Salesforceが提供する最新の技術や堅牢なセキュリティ機能を適用できることもセールスポイントとなっている。
このmitocoの採用を決めたSOMPOシステムズでは、これまでNotesやSalesforceなど複数のアプリケーションによって分断されていた情報のやりとりをmitocoに統合することにより、コミュニケーションロスや遅延を削減するだけでなく、Salesforce上の顧客情報や営業情報も一元的に管理し、さらなる情報活用を目指しているという。
同社では2017年4月より全社員約1500人でmitocoの利用を開始する予定だ。さらに、将来的にはSOMPOホールディングスグループ全体(社員数約8万人)への展開も図っていきたい考えだ。
佐藤氏とともに会見に臨んだSOMPOシステムズの小澤淳 取締役専務執行役員はmitocoについて、「社内外のコミュニケーションだけでなく、IoT(Internet of Things)センサを利用した会議室の利用状況管理など、クラウド技術を最大限に活用したソーシャルウェアのmitocoによって、自由度が高くスピードの速いコミュニケーションを促進させ、素早い経営判断を実現したいと考えている」と、ソーシャルウェアとしての活用に期待を寄せた。
佐藤氏が言う「グループを超えたソーシャルウェア」は、これからのコミュニケーションツールのあり方を示しているのかもしれない。

SOMPOシステムズの小澤淳 取締役専務執行役員(右)と佐藤氏