「日本の製造業におけるIoT(Internet of Things)活用には、日本ならではの取り組みがある。それを日本型IoTソリューションとして発信していきたい」――アビームコンサルティングがこう語る「日本型IoT」とはどんなものか。
アビームコンサルティングが説く製造業の「日本型IoT」とは
アビームコンサルティングが先ごろ、企業におけるIoT活用の取り組みについてメディアセミナーを開いた。同社がこれまでコンサルティングを手掛けてきた100件を超える事例を基に整備したソリューションも披露。とくに製造業におけるIoT活用には、日本ならではの取り組みがあるとして、日本型IoTへの対応を強調した。
アビームコンサルティングの渡辺巌 執行役員 プリンシパル デジタルトランスフォーメーションビジネスユニット IoTセクター長
説明に立ったアビームコンサルティングの渡辺巌 執行役員 プリンシパル デジタルトランスフォーメーションビジネスユニット IoTセクター長によると、日本の製造業におけるIoT活用は、これまでの個別“カイゼン”活動の延長として取り組むケースと、次世代の工場やエンジニアリングと位置付けて取り組むケースの2パターンに大別できるという。また、生産現場におけるIoT活用の目的としては、製品品質と生産性の向上が主に挙げられるとしている。
そうした状況を踏まえ、渡辺氏は「日本の製造業には日本型IoTが存在する」と主張する。日本型IoTとはどんなものか。同氏によると、「新たな気付きと新たなカイゼン」「多様性のあるIoT」「ノウハウの内製化」といった3つの特徴があるという。図がその中身を示したものである。この図に記されたそれぞれの取り組みが、日本独特というわけだ。
日本型IoTの内容
多様性のあるIoTについては分かりづらいかもしれないので少し説明しておくと、日本の生産現場でIoTを活用しようとすると、自動化ラインをはじめとしてさまざまな取り組みが挙げられる。図に記された4つの取り組みは代表的なもので、渡辺氏は「これらを組み合わせたものが日本型IoT」だという。
日本型IoTソリューションの決め手は「カイゼン活動×IoT」
アビームコンサルティングでは、この日本型IoTの内容を踏まえて、同社がこれまで培ってきたケイパビリティを適用したソリューションを整備している。日本型IoTの3つの特徴に対し、新たな気付きと新たなカイゼンに向けては「業務課題解決目線を持ったデータアナリティクスと分析モデル」、多様性のあるIoTに向けては「データ活用を業務に組み込むためのIoTプラットフォーム」、ノウハウの内製化に向けては「自動化した基礎分析を含むサイクル型業務適用方法論」を提供していく構えだ。
ただ、渡辺氏の説明を聞いていて筆者が感じたのは、日本型IoTソリューションを日本の製造業に向けてだけではなく、グローバルにも貢献するものにできないか、ということだ。ヒントは、アビームコンサルティングも日本型IoTの発想の原点に挙げている「カイゼン活動×IoT」だ。グローバルに定着しているカイゼンの取り組みとIoT活用を組み合わせれば、グローバルに通用する日本発のIoTソリューションを生み出せるのではないか。
この点については、渡辺氏も「日本型IoTソリューションはグローバルにも通用すると考えている。グローバルベンダーが展開しているIoTプラットフォームやアナリティクスと真っ向からぶつかるのではなく、それらも柔軟に取り込めるソリューションに仕立て上げれば、カイゼンのようにグローバルに貢献することができると確信している」と話している。
アビームコンサルティングには、ぜひとも日本型IoTソリューションをグローバルにも力強く発信していってもらいたい。