Igniteであぶり出す企業の進むべき道
テクノロジに注力して成功したとしても、成功できる期間はせいぜい2年間です。ビジネスを続ける上で、顧客の目線でさまざまなものを集め(Aggregate)、それを顧客に提案していくような取り組みが必要です。
そのためにセールスフォースとして「Ignite」という取り組みを実施しています。これは顧客側のエグゼクティブをはじめさまざまな人にインタビューし、「どんなふうになりたいか」「何を変えるべきか」などを聞き込み、企業としてのビジョンを描きます。そのイメージが正しいかを確認しながら、顧客企業とわれわれがそれを共有し、われわれができる領域でお手伝いしていくという仕組みです。顧客の目線になることの具体策と言えます。
--2017年の施策の方向性について。
営業組織の再配置を考えています。従来は東京、大阪、名古屋など都心での成長企業への投資に注力していましたが、2017年はさらに中小規模の市場を開拓することを考えています。
1つの動きとして、金融業界があります。金融情報システムセンター(FISC)が作成している「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」は、社会情勢の変化に対応して継続的に改訂され、現在まで金融情報システムに関する安全対策の拠りどころになっていますが、セールスフォースは、この基準を満たしています。
実際に、米国の多くのFinTech企業がプラットフォームにSalesforceを採用しており、ビジネスのスピードに合わせてすぐにアプリケーションを構築できるクラウドに利点があることを証明する形になりました。時代が変わったと言うこともでき、われわれはこうした企業を戦略的に支援していきたいと考えています。
--2017年の個人的な目標は?
まずは健康的に過ごすことです。それから、最近持っている危機感は、日本には良いエンジニアが埋もれてしまっている層があるということです。システムインテグレーターを第一層だとした場合、下請けなどによる深い階層構造が形成されているのが日本の特徴です。そこで言えば、第四、五層といった所にいる優秀なエンジニアが、本当の意味で活躍できる場をつくっていかないと、日本の技術力の底上げは難しいと思います。
2017年に限らずですが、セールスフォースという枠組みを外したとしても、そうしたエンジニアリングの支援をしていかないと、地盤沈下だけが進んでしまうのではないかと感じています。