課題解決のためのUI/UX

Amazon Dash Buttonはなぜ一気に広まったのか--UXを分析

綾塚祐二 2017年03月03日 09時00分

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 2016年末に日本に上陸したAmazon Dash Buttonは大きな話題となった。「ボタンを押すことにより特定のものを買う(発注する)」だけのハードウェアデバイスというのは、それを「あり」にするビジネスモデルという観点で興味深いし、IoTデバイスにまつわるUXという観点からも興味深い。そしてもちろん、「買い物」にまつわるUXという観点からもとても興味深い。今回は、Amazon Dash Buttonをキーにして日用品などの買い物にまつわるUXを考えたい。

「買い物」という行動の細分化

 UXを考えるために、まずは「買い物」という行動がどういう要素から成り立つかを考える。「買いたい物・買うべき物」が生じてから「それが手元にくる」までのステップを思い浮かべていただきたい。店舗で買う、ネット上のECサイトで買うなどいろいろなパターンがあるが、おおよそ共通する要素を時系列で並べてみてほしい。たとえば、こんな感じになるであろう。

  1. 買いたいものが生じる
  2. 買うための場所もしくはウェブページに行く
  3. 買うものを探す・選ぶ
  4. 代金を払う、もしくは方法を指定する
  5. 買ったものを引取る

 特に目的なく、あるいは別の目的で店に行き、その場で見つけた何か買いたくなるといった場合は2、3 が(ほぼ)飛ぶことになるが、今回はそのパターンは置いておくとして、これらの項目を順番に見ていく。


Amazon Dash Button

買いたいものにたどりつく

 まず、1.であるが、日用的な消耗品であれば、なくなった、もしくはなくなりそうだということに気が付いた時点で、買う必要が生じる。それ以外の場合も千差万別のパターンはあろうが、何らかのきっかけで買う必要やモチベーションが生じる。このとき、「買いたいもの」がどの程度具体的か、重要度・緊急度がどれくらいかはさまざまである。

 買いたいものを買うためには、(物理的な)実店舗にせよECサイトにせよ、それが「買える場所」を訪れる必要がある(2)。物理的な店舗の場合は(多くの場合)営業時間が限られるし、移動の物理的コストも掛かるので、行ける機会が限られる。そのため、買いたいものが生じてからの時間が空きやすく、実際に買える店舗やその近くに来たにも関わらず買うことを忘れる、という事態も起こりやすい。

 場所を訪れたら、買いたいものを探し、選択肢がある場合にはそれらを比較し買うものを選ぶ(3)。自分で探す場合もあれば、店員に訊いたり、あるいは自分で検索したりして買いたいものにたどりつく場合もある。よく買う場所でよく買うものを、ということであればすぐにたどりつけるであろうが、めったに買わないものや馴れない店などであれば、迷ってなかなかたどりつけないこともある。

 実店舗であれば売り場の動線の設計、細かなレイアウトなどがこのたどりつきやすさに直結する。ECサイトでも、分類の仕方や検索のしやすさなどが重要なのは言うまでもない。

 そして、目的の買いたいものがその店になければ、諦めるか、他の店に行くことになるが、「ない」ということが判るまでにどれくらい手間や時間が掛かるかも、UX的にはとても重要である。ECサイトの場合でも在庫確認のしやすさや精度にはばらつきがあり、利用しやすさに影響する。

 在庫がない場合には登録しておけば次回入荷時に教えてくれる、といったサービスもある。買いたいものをチャンスが有るときに買い逃がさないですむ、というのも、よいUXをもたらす要素である。

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