3.レガシーシステム
AltimeterのプリンシパルアナリストBrian Solis氏は、多くの大企業にとって、レガシーシステムはいまだに大きな課題だと述べている。「現在企業が行っている事業のあらゆる面が、過去100年間の企業のあり方を前提に作られている」とSolis氏は言う。「企業は、イノベーションによって変化を強いられるたびに、その技術に適応するための新たな技術に投資を行ってきたが、その投資は過去の前提に基づいていた」(Solis氏)
Gartnerは企業にデジタルプラットフォームを構築することを勧めている。デジタルプラットフォームとは、IT部門がデジタル変革を支えるために構築すべきものの設計図だ。これにはレガシーシステムも、モノのインターネット(IoT)などのデジタル化の取り組みを支える新たな構成要素も含まれている。Gartnerのバイスプレジデント兼フェローであり、CEOとデジタルビジネスリーダーに関する研究グループのメンバーであるHung LeHong氏は、「多くの場合、既存のIT環境は、スマートシティやデジタル医療、産業用インターネットなどの新たなモデルを支える能力を持っていない」と語る。「それには、新たな構成要素が必要になる」
LeHong氏は、多くの企業はレガシーシステムを完全になくすことはせず、それらのシステムを近代化すると予想され、その際にはAPIやサービスを使用した手法が用いられるだろうと述べた。「これはコアをなくすのではなく、コアをリノベーションするということであり、これがデジタルプラットフォームを構築するための基礎となる」と同氏は述べている。
4.透明性の欠如
Deloitte Consultingの最高技術責任者(CTO)兼最高経営責任者であるBill Briggs氏は、「デジタル変革」という言葉は、非常に多くの取り組みを包含する可能性があるという点で危険だと述べている。
「意義のある測定可能な成果を挙げてデジタル変革を定義するのは、当たり前のことに思えるかもしれないが、驚くべきことに多くのプロジェクトでは、そのような明快な定義を行っていない」とBriggs氏は述べている。「難しいのは、デジタル変革を実施可能で、消化可能な取り組みに落とし込むことだ」と同氏は付け加えた。
5.「氷山」
デジタル変革を考えるにあたっては、企業の幹部1人1人が、それぞれの「デジタル氷山」のいくつかの側面に取り組むことになるとKark氏は言う。例えば、最高マーケティング責任者(CMO)は顧客エンゲージメントに取り組み、最高執行責任者(COO)はサプライチェーンに、最高財務責任者(CFO)はアナリティクスにそれぞれ取り組むことになるかもしれない。しかし現実には、それぞれの問題は氷山の一角にすぎず、現実にデジタル化に成功するには、多くのシステムでバックエンドとフロントエンドの両方で調整が必要になるとKark氏は述べている。
デジタル氷山の全体を見る役割に適しているのは、最高情報責任者(CIO)である場合が多い。これはCIOが、IT部門や他のシステムを総合的に把握する視点を持てるからだとKark氏は述べている。