今週の明言

マイクロソフト幹部が語る「パートナービジネスの基本姿勢」 - (page 2)

松岡功

2017-03-31 12:44

 同氏の話で印象深かったのは、「投資」という言葉を幾度も使っていたことだ。つまり、投資という言葉で、マイクロソフトが注力する取り組みを明確に表していたのである。もちろん、同氏は経営幹部なので当たり前の表現ではあるが、パートナービジネスにおいてそれがより具体的に示されると、パートナー企業にとってはマイクロソフトへの信頼度が一層上がるだろう。その意味で、メッセージの巧みさを感じた会見だった。

「小さくスタートして実績を積み上げていくことが重要だ」
(日本システムウエア 竹村大助 ビジネスイノベーション事業部長)


日本システムウエアの竹村大助 ビジネスイノベーション事業部長

 日本システムウエア(NSW)、PTCジャパン、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の3社が先ごろ、工場でのIoT(Internet of Things)活用に必要なハードウェア、ソフトウェア、サービス、サポートをパッケージ化した「ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージ」を提供開始すると発表した。NSWでITソリューション事業本部ビジネスイノベーション事業部長を務める竹村氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同パッケージの基本的な考え方について述べたものである。

 同パッケージは、ファクトリーIoT用ハードウェアとして最適化されたHPE製サーバ「HPE Edgeline」とPTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」に、NSWの導入コンサルティングや開発者向けトレーニングを組み合わせたものだ。(図参照)

 竹村氏によると、ファクトリーIoTによる生産性の向上および情報活用による競争力の強化が求められている中で、ユーザー企業の多くは「どこから取り組めばよいか分からない」「ROIが見えない」などの理由から、プロジェクトをスムーズに進行できないといった課題に直面しているという。


3社のアライアンスにおけるそれぞれの強み

 そこで、同パッケージでは2〜3カ月の短期間で自社工場の設備状態や稼働状況、品質情報などのリアルタイムモニタリングを可能にするために必要なソフトウェアライセンス、ハードウェア、導入支援や継続的なプロジェクト支援のサービスをセットで提供。少ない初期投資で迅速にIoTへの取り組みを始められるようにした。活用する情報、接続性、可視化の方法や期待する効果は企業ごとに異なるため、仮説、可視化、評価、次の仮説へと顧客と一緒にPDCAを回しながら、IoTの取り組みをより高いレベルで進めていくためのアプローチを提供するとしている。

 同氏は、「ファクトリーIoT向けにハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品は他にも見受けられるが、われわれのパッケージは導入支援や継続的なプロジェクト支援のサービスもセットで提供するのが大きな特徴だ。そして、まずは小さくスタートして実績を積み上げていくことが重要だと考えている。これによって、ファクトリーIoTへの取り組みを強力に支援していきたい」と強調した。

 確かに、IoT活用といってもどう取り組めばよいか、頭を悩ませている企業が少なくない。その意味では、同パッケージのように小さくスタートできれば、導入支援を受けてまずは取り組んでみようという気になるだろう。そうしたさまざまな事例が出てくることを期待したい。

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