ビジネスITの世界は変化が激しくなっているが、先日、2017年はマーケティング部門へのテクノロジ投資がIT部門のそれを上回る見込みだという発表があった。特にB2Bデジタルマーケティング分野はマーケティングオートメーションの導入においても、活発に議論されているという。そこで今回、B2Bハッカーの飯室淳史氏、アクセンチュアの槇隆広氏、2BCの尾花淳氏、KDDIの中東孝夫氏を招き、座談会を開催した。今回は最終回(第1回)(第2回)(第3回)(第4回)(第5回)。参加者は以下の5人。
参加者
- B2Bhack.com B2Bハッカー(ビジネスファシリテーター)飯室淳史 氏
- アクセンチュア株式会社 マネジング・ディレクター デジタルコンサルティング本部 槇隆広 氏
- 2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
- KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫 氏
- 司会 ZDNet Japan編集部 山田竜司
将来のB2Bマーケットを予測するキーワード
ZDNet:最後に、B2Bマーケティングの展望を。たとえば2020年のB2Bマーケットはどうなっていると思いますか。
アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 槇隆広 氏
槇氏:マーケティング領域にも、機械学習などAIや予測分析といったテクノロジの活用事例が出てくると思います。AIはさまざまな場面で使えるので、ターゲティングやスコアリングロジックの最適化をどうやって実現しようとかいう話は、マーケティングツールベンダーが積極的に実装し、どんどん進むと思います。一方で、根本的にビジネスモデル、パートナーシップ、商慣習などを再考しなくてはいけないと思います。
例えばレベニューシェアという話も選択肢のひとつかもしれませんが、業種を超えたパートナーシップモデルやプラットフォーム構築の話がどんどん出てくるような気がしています。コンシューマー向けのサービスでは、すでにAPIを切り出して好きにつないでくださいということが行われており、何かを新たに開発することは不要という世界ができてきているわけです。
これらを自社ですべて実施するのは、コストとスピードの観点で非効率なので、どの事業体と一緒に取り組むことで、コンシューマーに対してユニークな価値を提供できるかという、戦略的な話になっていくべきですね。もちろんすでに取り組んでいる企業はあるわけですが、今後これらの活動は加速していくでしょう。この戦略的な取り組みにおいて、マーケティングが果たす役割はといえば、「協業できるパートナーを探し、そのパートナーと顧客に対してどのようなメッセージを発信していくか」です。
B2B、B2Cの両方でこれらの取り組みが進むと思っています。そうなると必要なツールやテクノロジも変わり、「データ活用とは」というようなしみじみした話も絶対に必要となります。業種を超えたパートナーシップモデルやプラットフォーム構築は、近い将来に向けてどの企業も今考えるべきテーマ、アジェンダの1つかと思います。