座談会@ZDNet

「成果しか売れない時代」の前にできること--B2Bマーケティング座談会(6) - (page 5)

山田竜司 (編集部) 吉澤亨史

2017-06-02 07:00

今は「ITバブル直前」

 尾花氏:買い手側の視点では、買うものが成果や体験という視点では重要ですが、それだけではありません。製造業では、部品や原材料の調達は別の視点での進化するのではないでしょうか。モノを作っていると、原材料や部品は買いますよね。


2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏

 たとえばトヨタのジャストインタイム(必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する)のような仕組みが進化するかもしれません。もっと単純にほしい時に原材料が買え、迅速に配送されるといった風に。

 アウトカムセリング型とジャストインタイム型は、視点を変えれば顧客への価値提供という点では共通ですが、実際の購買行動は大きく異なるでしょう。前者はたとえばB2Cだとしたら、もうすでにAmazonがやり始めています。同じような話がB2Bでも出てくるでしょうね。

 飯室氏:GEがやっているPredixというOSでインダストリアルインターネットをするというものは、最終的に人が見ない、機械が見るGoogleのような検索エンジンがあり、機械だけがアクセスして注文して部品を買うというEコマースサイトを作るといいます。

 世の中の90〜95%くらいのオーダーはリピートオーダーで構成されているから、もっといいものが出るというようなことはどうでもいい話で、今言ったように発注しやすく、すぐ届くということだけが体験としては要求されている。

 でも多分、Amazonはその90何%を見て安定した売り上げを得ようとしているのでしょうね。ですから多分、市場はAmazonような方向に行くのでしょう。GEはおそらく(インダストリ分野での)その市場を取りたいと思っている。

 中東氏:そうした(インダストリアルなB2Bでの受発注やアウトカムセリングの)話はIoTの進化が関係しますね。今はワイヤレスLANがつながる、という文脈でしかIoTは語られていないので「Under the Roof:屋根の下のIoT」というような言い方をしていますが、LPWA(省電力型広域無線通信網)、LoRaWANなどさまざまな通信方式があり、数年後には5Gネットワークも構築されます。

 それが実用化した段階で、電源が供給される屋根の下でないとできない、という問題はおおむねクリアされると考えています。乾電池一本で10年もつというレベルになってくると、全く違う世界が出てくるはずです。

 ネットワークから実際にリアルのマシンを制御するにはとか、マシンへのフィードバックはどうしたらいいかとか。今度はそれをドローンと組み合わせたらどうなるのだろうかなど。

  製造業のB2Bマーケティングだけを取り出してみても今現在、新テクノロジによりマーケティングのあり方が動いている、ITバブルが始まる直前のような世界なのです。

 <了>

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