一方、吉田氏は在宅勤務についてもこう指摘している。
「在宅勤務の導入に踏み切れない会社にその理由を聞くと、社員が在宅でちゃんと仕事をするのかという疑心暗鬼がある。そうではなく、会社は在宅勤務でも社員にしっかりと成果を求め、社員はそれにしっかりと応えるといった形で、お互いに信頼関係を構築することが重要だ。ちなみに、当社では10年前から社員が上司の許可なく在宅勤務が可能であり、日常業務として浸透している」
そのうえで同氏は、「その経験からいうと、社内外を問わずに働き方改革を進めるには、企業文化そのものを変革していく必要がある」と強調した。こうした話を始めると止まらないといった感じの同氏の熱弁ぶりが印象的な会見だった。
「働き方改革は“会議改革”である」
(シスコシステムズ Erwin Matti 執行役員)
シスコシステムズのErwin Matti 執行役員
シスコシステムズが先頃、企業の働き方改革を支援する事業戦略について記者説明会を開いた。同社執行役員でコラボレーションアーキテクチャ事業を担当するErwin Matti(アーウィン・マッティー)氏の冒頭の発言は、その会見で、働き方改革についてのシスコの考え方を述べたものである。
Matti氏はシスコの調査に基づいた働き方改革の課題として、「1日のうち37%も会議に時間を費やしている」「機材の準備などで会議が10分遅れて始まることが多い」「会議中に70%の人がPCを使って別の仕事をしている」といった点を挙げ、「働き方改革はすなわち会議を改革することである」と強調した。
また、「会議の前後に発生する作業は既にデジタル化が進んでいるが、会議中は紙の資料やホワイトボードなど、今もアナログが中心。このため、会議の後、ホワイトボードに書いた議事録を撮影してデータ化するなど、アナログからデジタルに変換するという作業が発生している。デジタルの流れが会議中のアナログの壁に阻害され、大きな無駄が発生している」とも指摘した。
そうした無駄を解消するため、Matti氏がシスコのコラボレーション製品として紹介したのが、「Cisco Spark」および「Cisco Spark Board」である。
「Cisco Spark Board」のデモンストレーション
Cisco Sparkは、ビデオ会議、VoIP内線通話、メッセージングなどのビジネスコミュニケーション機能が統合されたクラウドサービス。また、Cisco Spark Boardは大型の専用ディスプレイで、モバイルとのワイヤレスペアリング機能により、配線なしで簡単に大画面でのビデオ会議を始めることができる製品である。
とりわけ、新たに市場投入したCisco Spark Boardについては、「会議室に入ると同時に、ログイン操作することなく、全員が会議に参加でき、画面であるホワイトボードに同時に書き込みも可能。会議が全体的にデジタル化されることで生産性の向上が期待できる」と訴えた。
なお、シスコはこの会見で、KDDIとこの分野で協業することも発表した。その内容については関連記事をご覧いただきたい。「働き方改革は会議改革」とは、まさに会議改革に向けて強力な製品やサービスを展開しているシスコならではのメッセージである。