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Rethink Internet:インターネット再考

インターネットの最大の利点は「非最適解が持つ価値への気付き」 - (page 2)

高橋幸治

2017-05-04 07:00

 沿岸は陸への入口にもなれば海への出口にもなる「境界」だ。境界とは未知のもの同士が邂逅する場所であって、異界の情報が海から陸に流れ着いたり、陸から海へと異界に向けて情報が流れ出したりする文化の発生地帯である。

 異質な情報は境界としての沿岸で相互に衝突し、反発し、融合し、新たな文化を生み出していく。「インターネット=情報の海」というメタファーを、こうした沿岸=境界のイメージとして再定義みていもよいのではないか。

インターネットの最大の利点は非最適解が持つ価値への気付き

 私たちは日々、インターネットの沿岸を媒介としながら多様な情報を採取し、ときには、海の向こうに多様な情報を搬送する。

 周知の通り鎖国時代の日本も完全な情報遮断を行っていたわけではなく、幕府はオランダとの通商を行う長崎の出島=長崎口を筆頭に、朝鮮半島のとの窓口となった対馬口、琉球王朝経由で中国大陸との交易を行う薩摩口、そしてアイヌとの貿易のための松前口という4つの沿岸を外部に向けて開放していた。

 海は陸地同士をつなぐネットワークのインフラであり、最も鮮度の高い情報の出入り口となるのが陸と海の境界である沿岸なのだ。

 歴史学者の網野善彦氏は日本が稲作を中心とする定住型の農耕社会として発展したという通説に異を唱えつつ、四方を海に囲まれ豊富な沿岸を有していた我が国の列島性こそが、実は文化の醸造に大きく寄与したという事実について『海民と日本社会』(新人物文庫)の中で次のように記している。


網野善彦『海民と日本社会』
網野善彦氏による『海民と日本社会』(新人物文庫)。農地を持たないいわゆる水呑百姓の中に、実は沿岸部で海運業などを営みながら莫大な富を蓄積していた人々がいたことなどを指摘し、農民=安定的な豊かさ、海民=不安定な貧しさという図式の虚構を突き崩す

 島が閉鎖的で周囲から孤立した社会と考えるのは、全く早計であり、たしかに島は海によって他の地域から隔てられている反面、海を通じて四方の地域と交流し、緊密なつながりを持つこともできるのである。

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