志村氏:弊社で「簡単IoT」と呼んでいるなかに、工作機械やプレス機器についているライトを無線でつなぐだけで、稼働管理ができるというサービスがあります。本当に簡単で、ソラコムの通信を使って、5台なら1日で稼働管理ができます。例えば、それをタイの工場に入れていただければ次の日から日本で稼働が見られるという感じです。それを始めた理由は、投資を早く回収したいというのもありますが、顧客のニーズがあるからです。

東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
ただ、「簡単」というのは飽きられるため、次のフェーズを考えていかなければなりません。われわれがターゲットとしているのは、IoTのビジネスモデルでカイゼンなど、社内のことを可視化したい人達です。就労人口が減り、効率を目指していかないと日本の産業が衰退するという状況で、GDPを補うにはAIか機械が必要になるので、それを始めに解決しなければならないんですね。
余裕があればコマツのように、「ダントツソリューション」などにつながっていきますが、そこまで行けていないところがほとんどだと感じています。将来的にはそうしないと製造業として勝ち進んでいけないと感じているお客さんはいますが、もう少し時間がかかるという考えです。
ZDNet:ERPがこれまでは事業の主流だったと思いますが、IoTから取れたデータをERPにつなげて新しいシステムを作るなど、今までのビジネスとの連携は考えていますか。
志村氏:ERPではお金を管理して決済の報告をしていきます。原価計算書が出てくると、機械の稼働率は75%など、良い数字が出てきますが、経営者には確かめる術がありませんでした。それが、稼働をIoTで取れるようになれば、「実は65%しか動いていない」といったことが分かるようになります。経営者は65%を85%にするために手を打たないといけないので、本当はそれが知りたいのです。
ERPで見れる直接原価と計画原価に対する差や、今日の出来高に対する差が日割りレポートで経営者が毎日スマホで見られるようになれば、指示の仕方が変わってくるとか、いかにつなげるかで、ERPはお金に変えて見せてくれます。それを如実に計画に落としていくというPDCAを日で回せるようになってくると、初めてERPとつなげた意味が出てくると思いますね。
さすがにわれわれはまだそこまでできていないです。ただ目指しているのはそこで、mcframeという生産管理パッケージを入れている顧客向けに、次のフェーズでつなげる計画はあります。
<第3回へ続く>