これらのアイデアの一部は、最終的に行き詰まる可能性もある。しかし、イノベーションチームには新しいことを試すことが義務づけられている。「このチームの目的は、四半期ごとに定められた数のイノベーションプロジェクトを準備し、その一部を拡大することで、価値を生み出すことだ」と同氏は述べている。
3.企業全体に変化の種をまく
CDOは、創造性をビジネス上の収益に結びつける方法を見つける必要がある。Day氏は、同氏が「ホームラン」と呼ぶ、革新的な変化を起こし、Sainsbury'sにとって大きな価値を生み出す可能性のあるアイデアを見つけようとしている。同氏はそれらのアイデアに取り組むチームを組織し、作業プログラムを作っている。
すでに進展もある。Day氏は、同社のデータレイクプログラムを例に挙げた。取り組みを始めてから6カ月で、同社はレジシステムから送信される毎秒300件のトランザクションを処理できるようになった。この情報は、Sainsbury'sのすべてのデータサイエンティストによって利用されている。
「私は目的に合ったデータ環境を作りたいと考えている」とDay氏は言う。「もっとも重要なのは、優れた顧客体験とビジネス上の大きな価値をもたらすプロジェクトを進めることだ。われわれは、アナリティクスを通じてあらゆることを改善しようとしており、すべての従業員にその種を播けば、役員としてのCDOの仕事は楽になる」
4.人材獲得のためにブランド力を高める
Day氏は、Sainsbury'sの課題はデータを扱う優れた人材の獲得だと述べている。同氏の目標は、データの管理からガバナンス、アナリティクス、レポーティングまでのすべてに強い、世界クラスのチームを作ることだ。それらの能力を持つ人材の一部については社内の人材を育成し、一部は社外から獲得する予定だという。
「ハイレベルなデータアナリティクスの分野で、わが社は組織として、GoogleやFacebook、Amazonなどの有名企業と競合している」と同氏は言う。「どの領域を見ても、データを使って素晴らしい取り組みをしている有名企業がある。このため、データサイエンティストにとっては、キャリアを伸ばすのを助けてくれる企業が必ずある」
データ分野の人材に対する需要は高いが、Days氏はSainsbury'sも同じ土俵で戦おうとしていると述べている。「専門が価格設定であれ、ゲーミフィケーションであれ、流通であれ、農学であれ、わが社にはすべての要素が少しずつある」と同氏は述べ、人材を獲得しようとするCDOは、自社のメリットを売り込む必要があると語った。