Oracleは現在、同社のこれまでの歴史における最も重要な変化の1つと言えるものに取り組んでいる。それは製品ラインのクラウドへの移行だ。
Oracleは全社を挙げてクラウドに取り組み、同事業で急速な成長と高い利益を達成している。そしてこの取り組みの一環として、同社はクラウドに対応した包括的な製品スイートを実現すべく、自社ソフトウェアのクラウド化を進めている。
この動きで鍵となるのは、顧客の声により迅速に応えることだが、これまでの同社の歴史を振り返ると100点満点とは言い難いものがあった。
クラウドコンピューティングが本格的に普及し始めた2009年、Oracleの創業者であるLarry Ellison氏がクラウドは水蒸気だと発言し、一蹴したのは有名な話だ。また当時の同社は、顧客監査で攻撃的な姿勢を見せることでも有名になっていた。その結果、一部のアナリストや顧客の間で評判を落としていた。
しかしOracleは現在、顧客に対するフォーカスを刷新してきている。同社のクラウド戦略の一環だと言ってもよいこういった姿勢の背後には、2つの大きな要因がある。
まず、最高経営責任者(CEO)Mark Hurd氏の影響が挙げられる。Hurd氏は営業畑の出身であるため、顧客のニーズに応えることを非常に重視している。
次に、さらに重要なのは、クラウドベースのサブスクリプションというビジネスモデルのおかげで、ソフトウェアベンダーらは顧客満足を指向する文化を醸成せざるを得なくなっている。オンプレミスソフトウェアをベースにしたビジネスモデルとは異なり、クラウドの場合、顧客は従量制で長期にわたって料金を支払っていくことが多いため、あらゆるクラウド企業にとって顧客のクラウド導入とともに顧客の維持が最重要課題となるのだ。成功しているクラウドベンダーはさまざまな指標に目を光らせることで、顧客がソフトウェアに満足し、それを最大限に活用できるようにしている。
今回はこれらのテーマについて、以下の3氏にそれぞれ話を聞いた。その内容を抜粋して紹介する。
- G2 Crowdのチーフリサーチオフィサーであり、かつてIDCでグループバイスプレジデントを務めていたMike Fauscette氏
- Forrester Researchでアプリケーション開発・デリバリープロフェッショナル担当バイスプレジデント兼主席アナリストを務めるLiz Herbert氏
- MWD Associatesの共同創業者でリサーチディレクターのNeil Ward-Dutton氏(デジタル変革、ITインフラ、および関連トピックスを担当)