Oracleの最高経営責任者(CEO)Mark Hurd氏はニューヨーク市で開催された「Oracle CloudWorld」で米国時間2月12日、同氏が2020年までに実現すると考えているテクノロジ業界像を説明した。
同氏によると、Oracleはエンタープライズデータの半分以上が2020年までに自律的に管理されるようになると確信しており、これには人工知能(AI)が大きな役割を果たすと考えているという。
Oracleが自律機能を同社のクラウドプラットフォームのポートフォリオ全体に展開していくと発表したばかりである点に目を向ければ、この予測は驚くに値しない。その目的は、機械学習(ML)を活用し、アプリケーションとデータの統合や、アナリティクス、システムやアイデンティティの管理の自律的な実行を可能にするというところにある。
またHurd氏は同イベントで、エンタープライズアプリケーションの90%に統合AI機能が搭載されるようになるとも述べた。そして同氏は、あらゆるエンタープライズアプリケーションがAI機能のサポートをうたうようになると冗談交じりに語った。「AIウォッシング」(何でもAI化)という現状を鑑みれば、同氏の言葉は既に現実になっているとも言えるが、統合化されたアプローチが採られている例はほとんどないのが実情だ。
Oracleが実際に目指しているのは、同社のクラウド運用にスケーラビリティをもたらすことだ。Hurd氏によると、Oracleのクラウド上で提供されているバックオフィスアプリケーションの顧客数は5000以上にのぼっており、同社は今後の4四半期でSaaSの売上高を大きく伸ばす計画だという。
Hurd氏は「今日、企業を取り巻いている環境では大きな変化がいくつも起こっている」と述べるとともに、「B2BのITはほぼ横ばいだ。また、国内総生産(GDP)の伸びはとても緩やかだ。さらに、世界的にみて商業の伸びが鈍化している。このため、IT予算も横ばいとなっている」と語った。
またHurd氏は、経済成長が保証されているわけではないため、企業はビジネスモデルや製品、サービス、エクスペリエンスの面でイノベーションを生み出す必要があると付け加え、「AIはあらゆるものに統合されるようになる。これは、そうなるかどうかという話ではなく、いつなるかという話だ。また、すべてはマクロ経済やビジネスモデル戦略、テクノロジと関連しあっている」と述べた。
Hurd氏による今回の発言と同日に、「Oracle Autonomous Database」のサービスレベル合意書(SLA)では99.995%の可用性を保証するという発表もなされた。また、アジアや欧州、北米、南米に合計12の新たなデータセンターリージョンを設置する計画も発表された。