クラウドで切り開け“超ローカル新聞”の未来--岩手・岩手日日新聞社 - (page 2)

編集・構成 怒賀新也(編集部)

2018-03-17 07:30

 株式会社アベデザイン代表取締役社長 安部英人/三枝 裕/安部 彩枝香/加藤 智子

 岩手日日新聞社の初めての試みである電子新聞のデザインを手掛けました。初めてのことですから慎重になりますし、不安も大きかったと思います。2017年7月、無事リリースできたことを大変嬉しく思います。

 今回は、プロジェクトが本格的に始まる前に、岩手日日新聞社の担当である菅原祥氏と菅原葵氏に事前にヒアリングする場を設けてもらいました。2人からプロジェクトに対する考えを伺い、良いものを作りたいという熱意と、真剣に取り組んでいる気持ちが強く伝わってきました。一番強く印象に残ったのは「読者が楽しんでくれるものを作りたい」という言葉です。「ガッカリさせないようなものを作らねば!」という重圧感と、「素晴らしいものを作って驚きと感動を与えたい!」といったワクワク感が、頭の中にどっとあふれたのを覚えています。この気持ちをデザインとして表現するために、検討、調査にかなりの時間を使いました。

株式会社アベデザイン代表取締役社長 安部英人/三枝 裕/安部 彩枝香/加藤 智子
株式会社アベデザイン代表取締役社長 安部英人/三枝 裕/安部 彩枝香/加藤 智子

 電子新聞のサイトデザインと、ロゴを2種類用意するにあたり、読者に有料でサービス提供することから「見やすい・使いやすい」を重視しながら「新しさ」と「楽しさ」の表現をコンセプトに進めました。もう一つデザインをする上で大切にしたことは、岩手日日新聞社らしさが伝わるようにすることでした。コーポレートカラーを使うことや、メインモチーフである鳩をちりばめるなど、会社の歴史を大切にしつつ、年代問わず、多くの方にとって見やすくて楽しいといったことが感じられる新しいテイストを意識し、制作しました。

 今回のデザインで一番苦労したのは、購読者がログインをすることでサイト名とコンテンツが変わることです。ログイン前では「Iwanichi Online 岩手日日新聞社」というサイト名で、デザインもシンプルです。


 しかし、ログインするとサイト名は「岩手日日電子新聞 momotto」と、デザインがやや明るく、楽しそうな雰囲気に変わります。ボタン1つをとっても、意味が伝わりやすいように心掛けました。

 印象を変えつつ、岩手日日新聞社のブランドとルールは崩さないようにする必要があります。特に、momottoのロゴは多数のデザインを試作検討しました。完成したサイトとロゴは、とても気に入っていただきました。想いを表現できたことをとても嬉しく思いました。ここまではデザインなので目に見える箇所の作業となりますが、サイトやアプリケーションはデザインができても完成ではありません。デザインの裏側に、テラソリューションが心臓部である電子新聞の機能を構築して完成となるわけです。今回、精度の高いサービスを短期間で提供できたのは、デザインに関する理解と開発力を併せ持つテラソリューションの技術力のお陰です。デザインの検討に集中でき、大変助かりました。

 ITは今後も利用者が増加すると思われますが、ITと人をつなぐのも、ITを使いやすくするのも、顧客の想いを伝えるのも、ユーザーインターフェースのデザインがとても重要な役割を果たします。せっかく素晴らしいサービスでも、提供者の想いが伝わらず、ユーザーも使いにくいものだったら利用者が減ってしまいます。このような事が起こらないように、今後もサービスの発信者の想いが“正しく伝わるデザイン”を目指し、快適に利用してもらえるデザインを提供していきます。

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