本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、EMCジャパンの大塚俊彦 代表取締役社長と、Box Japanの古市克典 代表取締役社長の発言を紹介する。
「Make It Real〜日本企業の変革を本物にするお手伝いをしたい」
(EMCジャパン 大塚俊彦 代表取締役社長)
EMCジャパンの大塚俊彦 代表取締役社長
デルとEMCジャパン(Dell EMC)が先頃、2018年度(2018年2月〜2019年1月)の事業方針説明会を開いた。大塚氏の冒頭の発言はその会見で、Dell EMCの2018年度のスローガンを述べたものである。
会見では、大塚氏がまず2017年度の振り返りと2018年度の戦略のポイントを語り、デルの平手智行 代表取締役社長が2018年度の戦略を掘り下げて説明した。会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは大塚氏の冒頭の発言に注目したい。
「Make It Real」はDell EMCの2018年度のスローガンであり、「日本企業の変革を本物にするお手伝いをしたい」とはその意味を日本法人として表現したものである。
このスローガンの下、日本での2018年度の事業方針には「デジタル」「IT」「ワークフォース」「セキュリティ」といった4つのトランスフォーメーション(変革)のアジェンダがあるとし、重点戦略として次の5つを挙げた。
1つ目は「お客さまの変革に貢献するパートナーへ」。4つのトランスフォーメーションを推進するとともに、提案型ソリューション営業やコンサルティングを強化していく。
2つ目は「マーケット・カバレージの拡大」。法人の規模や業種など全ての市場セグメントにおけるカバレージを強化するとともに、営業体制を継続して増強する。
3つ目は「パートナーとの協業のさらなる拡大」。製品ポートフォリオ全般にわたるパートナーとの協業の拡大を図る。
4つ目は「ライフサイクル全般にわたるお客様満足度の強化」。24時間365日の国内サポート、サービスメニューの強化を図る。
5つ目は「Dell EMCブランドの強化」。日本発の先進イノベーションプロジェクトの推進や先進事例の発信に注力する。
これら5つの重点戦略と4つのトランスフォーメーションを推進することにより、「日本企業の変革をご支援するパートナーとしての認知度を一層高めていきたい」と大塚氏は力を込めた。
大塚氏に続いて説明に立った平手氏は、大塚氏の冒頭の発言について、その背景となる話を披露した。
「Dell EMCのスローガンは、この3年にわたる段階的なお客さまへのメッセージだ。まず、2016年度の“Let the Transformation Begin”は『変革を始めよう』、2017年度の“Realize Your Digital Future”は『変革を拡大しよう』、そして2018年度の“Make It Real”は『変革の質を高めよう』との意図を込めている」
さて、2018年度のDell EMCはどんな「Make It Real」の事例を示してくれるか。注目しておきたい。
会見に臨むデルの平手智行 代表取締役社長(右)と大塚氏