山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

5年たっても普及が難しい貨物自動車の配車サービス

山谷剛史 2019年01月08日 07時30分

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 中国で配車サービスというと、乗用車やタクシーを活用した「滴滴打車(didi)」が有名だ。中国在住者なら、加えて「貨拉拉(Lalamove、発音はホーラーラー)」のロゴを付けたワゴン車やトラックなどの車が走るのを見たことがあって、貨拉拉というサービス、ひいては貨物自動車の配車サービスがあるということを知っているだろう。

 見たことがない人でも、中国のどの都市にでもある卸売市場に行けば、このロゴを付けたワゴン車やトラックが待機しているのを見ることができるだろう。調査会社のDCCIによれば、中国において2016年までにオンラインの貨物配車サービスを扱う会社は200社に、2017年末の市場規模は1兆5000億元(約24兆円)規模にそれぞれなっているという。

 貨拉拉は2013年秋に香港で誕生、その後深センや広州などの広東省の都市を皮切りに中国全土で展開している。一般向けのほか2017年12月には企業版ユーザー向けアプリが登場。2016年にフィリピンに進出したのを皮切りに、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどにも進出した。登録ユーザー数は2000万、登録ドライバー数は300万、アプリの言語は7種類に対応するまでに至った。

 配車サービスだけに使い方は滴滴(didi)と基本的には一緒で、アプリ上で出発地と目的地と車種(ワゴンか小型トラックか大型トラックかなど)を選び、自動的に運賃が算出され、電子決済により引き落とされる。基本的に同一都市内での配送となり、モノの配送だけでなく、引っ越しにも使えるとしている。

 筆者は中国の都市内の拠点変更、つまり引っ越しの機会があり、そこでとばかりに貨拉拉を利用してみた。一般的な引っ越しと異なるのは、「自分でどの程度のトラックが必要か決め打ちする」という点であり、また一般的な配車サービスと異なるのは「引っ越し元の家から車までと、車から引っ越し先の家までの人件費について別途運賃が発生し、それはアプリでは決められず、ドライバーとその作業について交渉が必要」となる点だ。

 後者に関しては電話でやりとりが必要となるし、そのレベルについても「どの建物の前から何時に出発する」というレベルではなく「段ボール箱が何個、うち本が入っている重い箱が何個、それにテレビに洗濯機に冷蔵庫、注意が必要な割れ物が入った箱もある」というのを伝えなければいけないレベルとなった。

 結局、「車は1台、人員は荷物を運んでほしいので二人でよろしく」とお願いし、アプリで自動で引き落とされる運送費に加え、ドライバーと交渉で決めた人件費を別途本人らに当日渡すことになった。もちろんネイティブの中国人にとっては難しい話ではないが、外国人にとってはなかなかハードルが高い。

 中国メディアの第一財経の記事において、競合サービスを展開する快狗打車の最高経営責任者(CEO)、陳小華氏は配車サービスについて「これまではサービスしてくれる車を探すのが難しく、ぼったくりをはじめとしたトラブルが多かった。それを解消するサービスだ」とメリットを語る。

 一方で「滴滴などの乗用車の配車サービスと比べ市場規模が小さく利用者が少なく、おまけにハードルが高い。すぐに乗るわけではなく出発時間の時間調整も必要となる。モノを運ぶといっても、引っ越しをはじめいろいろな要求があり、ドライバーはいろいろな要求に対応できる運ぶ経験が必要となり、滴滴のように簡単にドライバーになれるわけでもない」と問題を指摘した。

 こうした理由からか、近年では比較的規模のある盾快運、速派得、藍犀牛、一号貨といった同種のサービスは終了した。利用者が増えドライバーも増えるスパイラルに入ればこうした問題も解決するが、利用のハードルの高さから状況は打開できていない。

 ところで杭州の繁華街では、2018年から2019年への年越しイベントで、人がたくさん集まるにも関わらず公共交通がなく、滴滴に約2000人の順番待ちが発生したが、貨拉拉を利用してワゴン車に乗り帰宅難を逃れたというニュースが報じられた。あまりに滴滴などの定番の配車サービスが利用できない状況であれば、貨拉拉を利用してワゴン車やトラックに乗るのも一つの手だ。

山谷剛史(やまや・たけし)
フリーランスライター
2002年から中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、ASEANのITや消費トレンドをIT系メディア、経済系メディア、トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』など。

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