グーグル、アプリ管理プラットフォーム「Anthos」を発表--AWS、Microsoft Azureもサポート

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2019-04-10 11:58

 Googleは米国時間4月10日、オンプレミスまたはクラウド(Google Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services、Microsoft Azure)にあるアプリケーションを管理できる「Anthos」を発表した。Googleは2018年、GCPまたはオンプレミスでサービスを構築・管理できるプラットフォーム「Cloud Services Platform」を発表しており、Anthosはこれを土台としたソフトウェア定義プラットフォームとなる。

 Anthosは現在、オンプレミス環境とGCPをサポートする。Googleのテクニカルインフラ担当シニアバイスプレジデントのUrs Holzle氏は記者向けの席で、将来的に「どこでも」動くと語っている。「これにより、一貫性がある1つのオープンソースベースのアプローチを全ての環境で使うことができる」とHolzle氏。「これから20年先も使えるスタックだ」と続けている。

 Anthosを他のクラウド向けにオープンにするという動きは、マルチクラウド戦略のトレンドに沿うものとなる。企業の中ではハイブリッドモデルを維持する一方で、クラウドファースト戦略をとる動きが強まっている。同時に性能とベンダーロックインへの懸念があることから、複数のクラウド環境を検討するという流れにつながっている。コンテナはマルチクラウドの受け入れに当たって重要な要素だが、コストが割高になるというケースもある。

提供:ZDNet.com
Google Cloudを率いるThomas Kurian氏
提供:ZDNet.com

 Google Cloudを率いるThomas Kurian氏にとって、マルチクラウドは自社の存在感を示し、営業のリーチを拡大し、業界固有のユースケースをターゲットにするという取り組みの一部となる。

 Holzle氏は、「顧客から、マルチクラウドとハイブリッドは重大な問題だという声を聞いている」とし、しっかりした戦略を持たずに複数のクラウドを使うことは「運用コストと運用上の複雑性が増し、開発者の分断化を今以上に進行させることにつながる」と述べている。

 AnthosはオープンなAPIを活用する。GoogleのマネージドKubernetesサービスであるGKEをベースとし、自動的にフィーチャーアップデートとセキュリティパッチを提供する。アプリケーションの処理とストレージは全て顧客の選択した環境に置くことができる。Googleは単なる制御プレーンにすぎない、とHolzle氏は説明する。

 Googleは、オンプレミスや他のクラウドにある仮想マシンを自動でGKEのコンテナにマイグレートする「Anthos Migrate」もベータ公開している。これを利用して、仮想マシンやアプリケーションに事前に修正することなく、インフラストラクチャを移行し、モダナイズすることができるという。

 Holzle氏はAnthosについて、顧客に「アプリケーションを一度作成して設定すればオンプレミスでもクラウドでもどこでも繰り返し使用できるようにするという約束に一歩近づいた」と語った。

提供:ZDNet.com
提供:ZDNet.com

 GoogleはAnthosの取り組みで30社を超えるハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーションのパートナーと連携している。

 IDCのシニアバイスプレジデントでチーフアナリストでもあるFrank Gens氏はAnthosについて次のように述べる。「プライベートと(複数の)パブリックが相互に接続され、一貫した方法で管理されるこの新しいクラウドの世界を顧客が構築し始めることができるようにテクノロジがパッケージ化された。これは大きな前進だ」

 同時にグーグルの競合も、クラウドは顧客が望む至るところに存在していなければならないことを理解している、と同氏は指摘した。過去24か月以内に、Google、Microsoft、IBM、AWSなどのパブリッククラウドを提供するすべての大手が、パブリッククラウド機能をオンプレミスやエッジロケーションにもたらすテクノロジと製品を披露してきた。

 「クラウドの世界では今後5年間で、この『Cloud Everywhere』というビジョンのリーダーシップをめぐる新しい戦いが見られるだろう」(Gens氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]