このところ大掛かりな再編に取り組んでいるNTTグループ。その渦中にあるNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が事業戦略を発表した。果たして、どういうことなのか。
NTT Comも渦中にあるNTTグループの大再編
写真1:記者会見に臨むNTTコミュニケーションズの庄司哲也社長
なんとも不思議な記者会見だった。NTT Comが4月9日に開いた2019年度(2019年4月〜2020年3月)の事業戦略説明会のことである。何が不思議かというと、NTTグループの再編に伴って2019年7月に国内事業会社とグローバル事業会社に分割される予定のNTT Comが、分割後も含む2019年度の事業戦略を説明していたからだ。
これはどういうことなのか。NTT Comの庄司哲也社長は今回の会見で、同社は7月以降、国内事業会社として存続するとし、「この機を“第二の創業期”と捉えて、新しい企業理念やブランドも見直す」ことを明らかにした(写真1)。
まずは、NTTグループ再編の動きを振り返っておこう。NTTがグローバル事業の強化に向けて、グループ内の再編を実施すると発表したのは2018年8月。その後、NTT持ち株会社傘下に新たにグローバル持ち株会社を設立し、その傘下に、NTT Com、NTTデータ、南アフリカのDimension Data、NTTセキュリティ、NTT Innovation Institute(NTTi3)の5社を移管した。
また、NTT Com、Dimension Data、NTTセキュリティ、NTTi3の4社については、2019年7月をめどに、国内と海外(グローバル)に分けて事業再編する。東証一部に上場しているNTTデータについては、現在の経営形態のままグループ各社との連携を図り、同社の経営の独立性やブランドを維持するとしている。これら一連の動きを新設の組織も含めて描いたのが、図1である。
図1:NTTグループ再編の動き
この一件については、本コラム「一言もの申す」でも、2018年12月27日掲載の「2019年、NTTグループの国内事業再編はどうなるか」、同年9月12日掲載の「NTT Com社長は『NTTグループ再編』について何を語ったか」、同年8月9日掲載の「NTTグループ再編で気になるクラウド事業の行方」と追いかけてきたので参照していただきたい。