日立製作所は4月11日、東京・国分寺市の中央研究所にイノベーション創生の新拠点「協創の森」を開設、報道機関に公開した。1942年創立の中央研究所は武蔵野台地の原生林に囲まれているが、新施設はその名称の通りに自然に囲まれた環境にある。
「協創の森」は、SDGs(持続可能な開発目標)や政府などが掲げる「Society 5.0」の実現に向けて、オープンな協創、エコシステムによってイノベーション創生を加速するための研究開発の場と位置付けられている。施設は、創業者の小平浪平氏を記念し、同社の技術研究開発の歴史を紹介する「小平記念館」や、イノベーション創生の中核を担う「協創棟」、イノベーションのアイデアを具現化する「迅創棟」などで構成される。
日立製作所におけるオープンイノベーション創出のアプローチ
協創棟の建物は新たに建設され、地上4階建の延べ床面積は約1万6000平方メートル、大学のキャンパスを想起させる落ち着きのあるデザインと自然の採光をふんだんに取り入れた設計となっている。
建物内は、主に同社の研究者やデザイナーと、パートナーらがイノベーションのアイデアをディスカッションし、アイデアを具体化する「プロジェクトベース」と、プロジェクトベースでの成果をもとに新技術やソリューションの開発を行う「プロジェクトルーム」で構成される。プロジェクトルームでは、既に「デジタルスマートスペース(オフィスや公共空間など)」「フューチャーリビングラボ」「環境遺伝子計測」「CMOSアニーリングマシン」の4テーマの活動が進められているという。
同社では、「協創の森パートナープログラム」も立ち上げ、顧客やパートナーと連携したイノベーション創生の活動を推進していくと表明している。