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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

スマート化で変わる中国のごみ分別

山谷剛史

2019-07-16 07:00

 上海で7月1日からごみの分別回収が開始された。「上海市生活ごみ管理条例」に基づくものだ。「リサイクルごみ」「有害なごみ」「湿ったごみ」「乾いたごみ」に分類して処分する。上海市民だけでなく上海を訪問した人に対しても、違反した場合には罰金刑が与えられるというが、一方で分別しようのないごみの問題など制度施行前から存在する、投入口が1つか2つしかないごみ箱も存在するので、厳格になるかというと怪しいところだ。上海だけでなく、今後は中国全土の46都市でごみ分別を進めていくという。

 これにより上海の街中では新分別制度に対応した4種類のごみ箱が登場したほか、阿里巴巴(Alibaba)のECサイトの淘宝網(Taobao)でも、新制度に対応した屋外用・家庭用のごみ箱が売られるようになった。日本ではおなじみの燃えるごみ・燃えないごみに分別できる二層式のごみ箱も新制度に銘打って売られている。

 現状は上海だけではあるが、他の地域でもそのニュースを見聞きしている人はいるようで、「厳格なごみの分別が上海でスタートした」ということを知っている人は多い。だからといって中国の他の地域にもその習慣が波及しているかというとそうでもなく、「リサイクルできるごみ/できないごみ」のごみ箱は以前から設置されているが、分別なく捨てられている。

 この話題に合わせて、ごみ分別に関するアプリが幾つも出てきた。支付宝(Alipay)や微信(WeChat)内で起動するクラウドアプリ「ミニプログラム」で作られている。これらミニプログラムのごみ分別のアプリを見てみると、だいたいはごみ分別の説明と検索窓があり、検索窓にごみの名前を入力すると、それはどのごみ箱に入れるものなのかを教えてくれるというもの。似たようなものでは文字入力の代わりに音声入力で調べられるアプリや、「このごみはどのごみ箱に入れるでしょう」という4択クイズ、それに子ども向けのゲームで直感的に画面上のごみをロングタップして指定のごみ箱に移動させるという直感的なものもある。

 大企業も動いた。阿里巴巴のECアプリ「手机淘宝」はAI(人工知能)によるごみ分別機能を追加した。同アプリからカメラを起動し、モノを撮るだけでどのごみ箱に入れるべきか教えてくれる。筆者が利用してみたところ、例えばお茶の入ったペットボトルを撮ると、ペットボトルという商品ジャンル名が表示され、リサイクルのごみ箱に入れるよう指示された。商品認識を間違えることもあるが、再度撮り直せばよいだけなので、十分に実用的で目くじらを立てるレベルではない。

 華為技術はスマートフォンに「AIごみ分類」という機能を追加。インスタントメッセンジャーのような画面に文字や音声でモノの名前を入力すると、どのごみ箱に捨てるか教えてくれる。

 また制度施行前からごみ分別に取り組んでいたごみ処理関連企業にもこの制度施行によりフォーカスが当たっている。

 「小黄狗」はマンションが集まる住宅エリア向けの、ロッカーのような横長のIoT搭載ごみ集積設備だ。このスマートなごみ集積設備に分別したごみを投入すると、重さにより回収金額を計上し、ポイントやキャッシュレスの支付宝などで還元される。さらにそれぞれのごみ箱が満タンになるとスタッフが最速30分でごみを回収しにやってくる。30都市、3500の住宅エリアに5000台が稼働し、ユーザー数は123万だという。

 「aobag」は、無人コンビニのようなガラスの壁が特徴のごみ収集施設だ。換金できる段ボールやプラスチックなどの資源ごみの回収に絞ったものだ。QRコードの付いた専用の袋をアプリから購入し、そこに段ボールやプラスチックなどのごみを入れて施設に入れ、アプリから回収申請を行い、業者が回収するとお金が振り込まれるというものだ。

 いずれも資源ごみの回収によりお金が振り込まれるというものだが、「小黄狗」や「aobag」登場以前は出稼ぎのごみ回収業者が人力で行っていた。彼らは言い値で買い取っていたわけだが、それをスマート化したことで明朗会計にしたともいえる。無人コンビニ型の「aobag」が普及するかといえば、無人コンビニが苦戦しているので怪しいところだが、「小黄狗」については中国の多くのマンションにフルタイムロッカーが普及したように広まっていくのではないかと思う。

山谷剛史(やまや・たけし)
フリーランスライター
2002年から中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、ASEANのITや消費トレンドをIT系メディア、経済系メディア、トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』など。

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