今回実施した相互接続試験では、一般のドローン事業者が参加できるようネットワークを介して運航管理統合機能と情報提供機能に接続。ネットワークの安全性を向上させるため、ファイアウォールとIDS(侵入検知システム)を設置し、接続する事業者には認証キーを配布することで、認証された事業者のみに接続を許可した。また、複数ドローンによる気象観測、複数ドローンを隊列飛行させた物流など、複数のドローンを同時に運用するケースを想定した飛行計画や飛行状態の管理を実現。そして、これらのドローンを安全に運用するための空域利用方法や運航ルールについて、運航管理シミュレーションによる検証・評価を実施した。
相互接続試験に参加する一般の事業者には、APIへの接続を支援するサービスを提供。飛行計画の申請、承認/否認の結果確認をウェブサービスとして提供し、事業者がウェブブラウザから飛行エリアや時間を申告できるようにしている。さらに飛行中のドローンの位置や速度の情報を運航管理システムに送信するため、機体に搭載する運航管理デバイスを提供。今後も多くの一般の事業者が容易に相互接続試験に参加できるよう、使いやすい環境の整備を進める計画だという。
今回の相互接続試験における、個別技術に関する成果は以下の通りだ。
- スカパーJSAT
災害現場や地上通信環境が未整備な地域での目視外運航を想定した飛行試験を行い、通信衛星を経由して衛星ドローンの位置、飛行状態の把握、コントロールをリアルタイムで直接運航管理機能から実施できることを実証した - NTTドコモ
上空の携帯電話(LTE)回線を用いた運航管理機能を提供し、21飛行試験実施チームのうち7チームに対して運航管理統合機能のAPI接続を支援。ドローンに搭載する運航管理デバイスは約60グラムと軽量であり、大型の産業用ドローンだけでなく汎用的なドローンにも搭載できるものを実現したという - 日立/情報通信研究機構
複数ドローンの目視外長距離飛行を実現可能としたマルチホップ通信を有する位置情報共有装置と多用途運航管理機能の開発を行い、運航管理統合機能、情報提供機能と連携。これにより、ドローンハイウェイの利用を想定した郵送において、安全かつ確実なドローンの運航管理が可能であると実証した - SUBARU/日本無線/日本アビオニクス/三菱電機/自律制御システム研究所
NEDOプロジェクトの別テーマで研究開発中の衝突回避技術を搭載したシステムが運航管理システムと相互に接続できると確認した。これにより、無人航空機の運航管理システムと衝突回避技術の統合にめどが付いたとしている - JAXA
多数のドローンの飛行とその運航管理を模擬するシミュレーターを開発し、運航管理システムの設計・評価を実施している。今回の試験では、このシミュレーターの一部を運航管理システムに接続し、実際に飛行するドローンを相手に衝突を避ける方法と手順を検証した
今後、NEDO、NEC、NTTデータ、日立、ゼンリン、JWA、JAXAは、2020年2月まで運航管理システムを運用し、一般のドローン事業者も含めた運航管理システムの機能検証を継続的に実施する予定だという。