「Windows 10バージョン2004」をインストールしたユーザーの間で、データ保護のための技術「Storage Spaces」(記憶域スペース)が誤動作し、一部のファイルが破損する不具合が報告されているが、Microsoftがこの問題に対する公式の回避策を公開した。
米ZDNetが6月中旬に報じたように、一部のユーザーは、ストレージを効率的にアーカイブする「パリティースペース」機能で、パーティションやファイルが破損したことを報告している。
Microsoftによると、パリティースペースは「ストレージの効率性を高めるように設計されており、複数のコピーを保持することで、ユーザーのファイルをドライブの障害から保護する」という。アーカイブデータやストリーミングメディア(音楽や動画など)に最適だ。
あるユーザーはWindows 10バージョン2004へのアップデートとStorage Spacesの不具合によって、大きな被害が発生した可能性があることを報告した。
そのユーザーは、「20TBのパリティーストレージスペースがRAWとして表示され、ファイルに一切アクセスできなくなった。Storage SpacesのツールとPowerShellでは、そのパリティーストレージスペースに問題はなく、データが存在すると表示される。リカバリーソフトウェアと数台の外付けドライブを購入してファイルをコピーし、以前の状態を復元する必要があるかもしれない」と述べている。
「パリティーストレージスペースに保存している写真が破損していることに気づき始めたのは、先週のことだ。ただし、『chkdsk』でエラーは表示されない」
Microsoftは、「ハードウェアとデバイスのトラブルシューティングツール」と「ストレージスペースのトラブルシューティングツール」をリリースしたが、この問題の全てのシナリオを完全に緩和するものではないと警告している。
ハードウェアとデバイスのトラブルシューティングツールは「Storage Spacesのデータに関する問題を防止するもので、これを実行するとStorage Spacesに書き込むことができなくなる」。このトラブルシューティングツールは、問題を緩和するためにシステム設定を自動的に変更する。
ストレージスペースのトラブルシューティングツールは、一部のユーザーの問題を軽減し、パリティーストレージスペースへの読み取りおよび書き込みアクセスを復元する。パリティーストレージスペースでデータの破損が検出されたシナリオを対象としている。
「このトラブルシューティングツールは、今後の破損を防ぐためのアクションを実行する。そのストレージスペースが読み取り専用と設定されている場合は、書き込みアクセスも復元する」(Microsoft)
これらのトラブルシューティングツールは、Windows 10バージョン2004を搭載する一部のマシンにのみリリースされた。IT担当者向けに、Microsoftは「Windows PowerShell」を使用して、ハードウェアとデバイスのトラブルシューティングに相当する回避策を手動で実装する手順も公開している。ストレージスペースのトラブルシューティングツールに相当する回避策を手動で実装する方法はない。
またMicrosoftは、Windows File Recovery(WinFR)を使ってファイルを復旧させるための情報も提供している。
このほかMicrosoftは、Windows 10 2004をインストールした後に「OneDrive」に影響する問題への対応についても公開している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。