松岡功の一言もの申す

富士通がDX企業になるカギは「全社員13万人をDX人材にできるか」

松岡功

2020-08-06 11:54

 富士通の時田隆仁社長が先頃、2020年度の経営方針をオンライン会見で説明した。その中で、筆者が注目したのは「全社員13万人をデジタルトランスフォーメーション(DX)人材へ転換させること」だ。この取り組みが、富士通を「IT企業からDX企業へ変革させる」カギと見るからだ。

デザイン思考で全社員13万人をDX人材に転換へ

富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏
富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏

 「IT企業からDX企業への変革」は、時田氏が2019年6月に社長に就任して以来、掲げている富士通のテーマだ。2020年度(2021年3月期)の経営方針においても、それを遂行するための取り組みが中心となっている(写真1)。

 顧客向けアクションでは「グローバルビジネス戦略の再構築」「日本国内での課題解決力強化」「お客様事業の一層の安定化」「お客様のDXベストパートナーへ」、社内向けアクションでは「データドリブン経営強化」「DX人材への進化&生産性の向上」「全員参加型、エコシステム型のDX推進」といった内容だ。

 全体の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは社内向けアクションにおけるDX人材への進化&生産性の向上として、全社員13万人のDX人材への転換を掲げていることに注目したい。

 時田氏はこの点について、「13万人がDX人材となるべくデザインシンキング(以下、デザイン思考)やアジャイルマインドの教育を進め、多様性を重んじた風土への転換を図っていく」と説明した。

 さらに、そうした取り組みを全員参加型かつエコシステム型で推進していくための態勢づくりについて、次のように述べた。

 「CDXO(最高DX責任者)の私と、私を補佐する福田(執行役員常務CIO兼CDXO補佐の福田譲氏)に加えて、社内15部門にDX Officerを配置し、CDXO直轄の専任チームとともに全組織に横串を入れた態勢で進める全社プロジェクトを7月1日付けで立ち上げた。これらの活動を通じて、富士通自身のDXを一層加速させていきたい」(図1参照)

社内DXのさらなる推進における主な施策(出典:富士通の資料)
社内DXのさらなる推進における主な施策(出典:富士通の資料)

 この取り組みにおいて要となるのが、DX人材への転換を図るための手法となる「デザイン思考」だ。富士通はデザイン思考について、「デザイナーがデザインを行う際に用いる考え方や手法、プロセスを、ビジネスに利用できるように体系化したもの。新しい商品やサービスの開発時に用いられることが多く、近年では企業のイノベーション創出や社会問題の解決にも活用されている」と説明している。

 具体的には、「人々のニーズを観察した上で課題を設定し、アイデアを出し合うことで可能な限りの解決策を探り、そのアイデアを基にプロトタイプを作成し、実際にユーザーにおいてテストを行いながら試行錯誤を繰り返すことで、新たな製品やサービスを生み出し、課題解決につなげる手法」である。ちなみにこの具体的な説明は、社内外でデザイン思考を活用するSAPによるものである。富士通はSAPを手本にしているようだ。

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