米国防総省、「JEDI」クラウドのマイクロソフト契約を堅持--アマゾンは異議「政治的に腐敗」

Mary Jo Foley Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-09-07 11:27

 米国防総省(DoD)は米国時間9月4日、同省が進める10年間に及ぶ100億ドル(約1兆1000億円)規模の「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)クラウドプロジェクトの契約先をMicrosoftにするとの決定に変更はないと発表した。DoDは8月、契約の再評価に時間がかかるとして、決定の発表を30日先に延期するよう裁判所に求めていた

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提供:ZDNet

 DoDの声明には以下のように記されている。

 「DoDはJEDIクラウドの提案内容の包括的再評価を完了し、Microsoftの提案内容が米政府に最も大きな価値をもたらすものであることに変わりはないとの結論に達した。これは固定価格で、あらゆる種類のクラウドコンピューティングサービスをDoDが利用できるようになる数量未確定(Indefinite-Delivery/Indefinite-Quantity:IDIQ)の契約となっている。この契約は、連邦請求裁判所が2020年2月13日に発出した仮差止命令によって、すぐさま履行されることはないが、DoDはこの契約がもたらす機能を軍人たちに提供し始めることを切望している」

 Amazon Web Services(AWS)は今回のDoDの決定について抗議した。連邦政府の契約を獲得するための激しい戦いではなく、政治的な、そして(Donald Trump大統領という)個人的なレベルでの戦いになったとして、「政治的に腐敗している」と表現している。

 AWSで公共部門を担当するブログチームは以下のように記している。

 「(今回の)JEDI契約先決定により、米連邦政府の調達システムの整合性と、我が国の軍隊や公務員が最善のテクノロジーを利用する能力を脅かす危険な前例が生み出されたことを、AWSは深く憂慮している。国防当局が正しい行いよりも、大統領を満足させたいという意欲に基づいて行動する傾向が高まっていることに他方でも懸念の声が上がっている」

 さらにAWSは、Trump大統領が大統領権限を行使し、契約先決定の経緯を明らかにする上でDoDの監察総監室に協力することを拒んだ点についても指摘している。

 「ホワイトハウスは協力するのではなく、『情報伝達に関する大統領特権』を発動した結果、ホワイトハウスとDoDの間でのJEDI関連のやり取りに関する質問の回答が、DoDの上級担当官らから得られなくなった」

 さらに、AWSは以下のように続けている。

 「(これにより)軍の上級指揮官は、懲罰の危険を犯すことなく、健全な判断を下すことができない。露骨な身びいきを好む大統領のせいで、法の下で正義と公平性を追求することでこの国に仕えようとする人たちすら脇に追いやられている」

 これはもはや、契約をめぐる戦いではなくなり、政治的な問題を超えてもいる。これは個人的な問題、つまりAWS対Trump大統領という戦いだ。

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