マイクロソフト、「通信事業者グレードのクラウド」構築のアプローチ示す

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-09-29 14:13

 Microsoftは米国時間9月28日、Azureを通信事業者のパートナーにとって魅力的なサービスにするための戦略を明らかにした。同社は、「Azure for Operators」の戦略について、さらなる詳細を説明している。

 一部の業界ウォッチャーは、Microsoftが2つの5G関連企業(Metaswitch NetworksAffirmed Networks)の買収を発表したことで、同社は独自に通信事業者になることを目指しているのかもしれないと考え始めていた。

 しかし、Azure NetworkingのパートナーであるShawn Hakl氏は、そうではないと話す。

 「私たちは通信キャリアに破壊的改革を起こそうとしているのであって、この事業に参入しようとしているわけではない」とHakl氏は語った。同氏は、最近行った電話インタビューで、MetaswitchとAffirmed Networksの買収は、「通信事業者グレードのクラウドを構築する」ためのソリューションアーキテクトを獲得することが主な狙いだったと述べた。

 Hakl氏は、「企業として重視していることは変わっていない。私たちは今後もプラットフォーム企業だ」と付け加えた。「私たちは、Azureをクラウドのワークロードを必要としている企業に推奨されるベンダーにしたいと考えている。通信事業者などの企業が必要としている高度に分散化されたワークロードを扱うには、Azureを共通のプラットフォームレイヤーとして持つことは、管理やDevOps、セキュリティ、オーケストレーションをコントロールする上で極めて重要だ」

 (Hakl氏は2020年3月にMicrosoftに入社するまで、Verizonでビジネス製品担当シニアバイスプレジデントを務めていた)。

 Microsoftはすでに、多くの大手通信事業者をパートナーとして抱えている。また、通信業界は同社の主要なターゲットの1つでもある。同社は最近の組織再編の一環で、Azure for Operators部門を立ち上げたとみられる。5G、仮想ネットワーキング、インテリジェントエッジなどの新たな機会について、「Azure Edge Zones」などのテクノロジーとともにサポートを強化していくためだ。

 この日の発表は、Microsoftがこの市場セグメントをどう狙っていくかについての具体的な内容を詳しく説明するものだ。その説明によれば、同社のハイブリッドなアプローチは、通信事業者がインフラの費用を削減し、サービスを差別化するために役立つという。同社は、通信事業者がソフトウェア定義ネットワーク(SDN)、ネットワーク機能仮想化(NFV)、サービスベースのアーキテクチャーなどのテクノロジーを利用し、インフラやオペレーションを進化させる中、さらなるサポートを実現するとしている。

 Hakl氏によれば、通信事業者がMicrosoftのサービスを利用する形態は、大きく3つに分けられる。その3つとは、Microsoftのキャリアグレードのクラウドをプラットフォームレイヤーに選択し、その上にサービスを構築すること、MicrosoftからVNF(仮想ネットワーク機能)とCNF(コンテナ化ネットワーク機能)を調達し、その上で自前のネットワークを運用すること、そしてMicrosoftからさまざまなサービスを購入することだ。その上で、通信事業者は、顧客にどのようなサービスをパッケージとして提供し、どのような価格を付けるかを決定することになるという。

 これまでに、Vodafone、T-Mobile、Verizon Business、Deutsche Telekom、Telefonica、AT&T、Telstra、NTTなどがMicrosoftの通信事業者パートナー、顧客となっている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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