海外コメンタリー

元の働き方には戻らない--新たなモデルをどう実現するべきか

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-03-03 06:30

 この1年間、多くのオフィスワーカーは、100年以上も続いてきた働き方のモデルを続けられなくなった。コロナ禍によって、大きなビルにあるオフィスに月曜から金曜まで通勤し、ほかの従業員に囲まれながら、デスクに座って同じ企業のために働くことは困難になっている。このような働き方はすぐには戻らず、永遠に戻ってこない可能性もある。

 いくつかの面で、これは良いことだといえる。通勤がなくなるのは環境にも、場合によっては働き手の財布にも良いことであり、貴重な時間を無駄にせずに済む。また、在宅で働く労働者は一般に幸福度が高く、生産性が高くなる場合さえあると指摘されている。企業にとっては、オフィススペースやコーヒーマシンを削減することでコストを削減できるメリットがある。

 とはいえ、良いニュースばかりではない。自宅で作業すれば効率は良くなるかもしれないが、刺激も少なくなる可能性があるし、多くの労働者は長時間働かなければならないように感じている。また、通勤者にサービスを提供している企業は非常に苦しんでいる。在宅勤務者は、それらの企業を支えるために税金を多く払うべきだという議論まで出ているほどだ。いずれにせよ、今後多くの人にとって、在宅勤務やリモートワークが業務時間の標準的な要素になる可能性が高い。

 IT業界は、古い働き方と新しい働き方の間のギャップを埋めることに関して妥当な対応をしており、会議の代わりに「Zoom」を、オフィスでの会話の代わりに「Slack」のメッセージを使うようになった。

 もちろん、それらは同じではない。例えばビデオ会議で自分の姿を見るのはうんざりするし、アイコンタクトは減り、同僚の声が聞こえないこともある(ある友人は、同じことを繰り返し言うのは我慢できないと言って、「あなたは今ミュート中です」という小さなサインを用意して会議で使うようになった)。

 あらゆるIT企業は、スタートアップか大企業かを問わず、こうした新しい問題を解決しようとしている。データの共有は深刻な問題ではない。結局のところ、それはスプレッドシートを使えば良い。

 私たちが失って本当に困っているのは、些細な会話や、偶然の発見や、チームの一員としてコミュニティに所属している感覚だ。IT企業が力を入れるべきなのはそうした要素をデジタル化することであり、一部の企業はそうしている。成功に近づいている企業もある。

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