AmazonのJeff Bezos氏は、同社の最高経営責任者(CEO)という地位をAndy Jassy氏に引き継ぐに先立って、株主らに宛てた最後の書簡をしたためた。
Bezos氏はエグゼクティブチェアマンに就任するため、同社を離れるわけではない。この「2020 Letter to Shareholders」(2020年の株主宛て年次書簡)は株主と、従業員、顧客、さらには一部の批評家らに宛てたものとなっている。
以下は、同書簡に記されているいくつかのポイントだ。
「Amazon Web Services」(AWS)によって2020年に創造された顧客価値は380億ドル(約4兆1000億円)だった。Bezos氏による概算は以下のようなものとなっている。
AWSの見積もりは簡単ではない。というのも顧客のワークロードはそれぞれ大きく異なっているためだ。しかし、誤差の大きいことをあらかじめ承知の上で、とにかく見積もってみたい。クラウド対オンプレミスという観点での運用費の直接的なメリットはさまざまだが、妥当な見積もりは30%というところだろう。AWSの2020年通期の売上高は450億ドル(約4兆9000億円)だったため、この30%は190億ドル(約2兆1000億円)もの顧客価値が創造されたことを示唆している(190億ドルは顧客が単独で運用した場合に発生したであろうコスト見積もりの640億ドルとAWSに支払ったコスト450億ドルの差額)。ただ、この見積もりの難しいところは、直接的なコスト削減がクラウドへの移行によって顧客にもたらされるメリットで最小のものとなる点だ。より大きなメリットは、ソフトウェア開発の迅速化であり、これは顧客の競争力と売上高を大幅に伸ばすものだ。こういった顧客価値を適正なかたちで見積もろうとしても、直接的なコスト削減よりも大きいという以上の表現は思い当たらない。控えめに見積もったとしても(ここでは本当に大ざっぱな見積もりしかしようとしていない点を思い出してほしい)、運用上の価値と同等であると私は考えているため、AWSがもたらした顧客価値は2020年に380億ドル(約4兆1000億円)に達していると言えるだろう。