UOB、デジタル機能強化に大規模投資へ--ASEANでの顧客ベース拡大を目指す

Eileen Yu (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-10-06 11:02

 シンガポールに拠点を置く銀行であるUOBは、5億シンガポールドル(3億6860万ドル)を投じてデジタル機能を強化し、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の小売顧客数を2倍の700万人に増やす計画を進めており、2026年までにその目標を達成することを目指している。同行の投資ロードマップでは、2026年にデジタルバンクとモバイルアプリを単一のプラットフォームに統合することも予定されている。

 UOBによると、世界的なパンデミックを受けてオンラインサービスの採用が加速したことで、デジタルバンキングが多くの顧客にとって好ましい選択肢になっているという。

 UOBは現地時間9月29日の声明で、例えば、シンガポールでは2020年にデジタル決済プラットフォームの使用が200%以上増加したと述べ、その例として「PayNow」やQRコードなどの電子決済サービスを挙げた。同行によると、その一方で、物理的な現金の預け入れと引き出しは30%以上減少したという。

 UOBは、デジタルバンキングの重要なサービス差別化要因としてユーザーエンゲージメントを強調しており、銀行サービスの利用傾向に基づいて、関連する洞察とサービスを予測して顧客に提供できることをアピールした。

 UOBは2019年、デジタルバンクサービス「TMRW」の提供を開始した。TMRWは現在、インドネシアとタイ、シンガポールで利用可能だ。UOBは同プラットフォームについて、人工知能(AI)を利用するデジタルエンゲージメントエンジンと説明している。同行によると、TMRWはフィンテックサービスを分類したり、大量のトランザクションデータをリアルタイムで分析したりすることが可能だという。

 同行によると、AIによってパーソナライズされた洞察を2019年11月に導入して以来、UOBはシンガポールで4000万件以上のそうしたデータを顧客に提供したという。また、TMRWチームは、行動科学やデータサイエンス、テクノロジーに精通したスタッフで構成されているという。

 UOBは、デジタル機能の強化を目指す5億シンガポールドル規模の投資計画の一環として、TMRWプラットフォームを「UOB Mighty」モバイルアプリと統合することを検討している。

 「UOB TMRW」と呼ばれるこの統合プラットフォームは、同行のシンガポールの従業員に対して、すでにパイロットとして展開済みだ。テストが無事に完了したら、同サービスは2021年中に地元の顧客にも提供される見通しで、UOB Mightyのユーザーはこの統合プラットフォームに移行される。UOB Mightyアプリは、「Google Play」ストアとAppleの「App Store」の両方で入手可能だ。

 同行によると、その後、UOB TMRWは「主要なASEAN市場」に段階的に展開されていく予定で、この次の段階は今後18カ月以内に開始されるという。

 UOBは、世界の19の市場にある500の支店およびオフィスのネットワークを運営しており、これにはマレーシアやベトナム、中国の銀行子会社も含まれる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってデジタルの採用が加速したことで、この種のエンゲージメントが消費者の間で最も好まれるようになっている、とUOBの最高経営責任者(CEO)兼副会長のWee Ee Cheong氏は話す。

 同氏は、「今こそ当行のデジタルバンク機能を統合すべきときだ」と述べた。「TMRWとUOB Mightyの最高の機能を1つのプラットフォームで利用可能にすることで、われわれは、特に高度にパーソナライズされたデジタルバンキング体験と市場投入までのスピードに関して、規模の経済を活用し、イノベーションを加速できる」

 UOBのTMRWおよびグループデジタルバンキング責任者であるKevin Lam氏は、「われわれの想像する未来では、UOBのデジタルバンキング体験と当行の提供するソリューションおよびサービスが、顧客の銀行サービスの利用傾向に基づいて、顧客ごとにパーソナライズされる。この次の段階におけるわれわれの目標は、テクノロジーによって未来のデジタルバンキングをよりスマートにし、顧客がより直観的に利用できるようにする方法を模索することだ」と言い添えた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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